『あしたのジョー2』を観ました。
力石との死闘から1年――ジョーは泪橋に帰ってきた。
奇妙な友情を築いたベネズエラのカーロスとの対戦を初め、次々に勝利を重ねるジョーは、ついに世界バンタム級チャンピオンのホセとの対戦資格を得る。
しかし、ジョーの身体に異変が起きている事を知った白木ジムの葉子は、莫大な違約金を払ってでもジョーに試合放棄を促すが……といったお話。
今作では出崎統さんが監督になったせいか、人間ドラマが濃密になりました。まさに出崎節全開です。
俺ッチは原作は読んでいないので比較ができませんが、おそらくテレビ版&劇場版を問わず、『あしたのジョー2』を観た後に原作を読んでも物足りなく感じそうな気がします。原作を越えたアニメ(=二次作品)というかね。
俺ッチもいつかは原作を読んでみたい気はあるんですが、そういう理由で後回しになってます…。
前作同様、テレビ版に新作カットを僅かに増やした再編集版です(アフレコは新録)。
葉子が砂浜を歩くジョーの足跡に気付くシーンが新作カットで、その他の映像は全てテレビ版のようですが(他にもあるのかな?)、令和の時代に見ても、こんな作画クオリティのアニメ作品が昭和の、しかも毎週ペースで生産されていたのかと思うと、驚くべきものがありますね。特にカーロス編。
終盤あたりはスタミナ切れの感が否めないものの、それでも同時期の作品でここまで描き込んでいる作品の例は挙げにくいでしょう。
作画レベルが高い昭和アニメと言えば、真っ先に『超時空要塞マクロス』が挙げられますが、そうではない回が圧倒的に多かったですからね(笑)。平均で勝負すれば『~ジョー2』も、上位に食い込めるはずの作品です。
若い頃に観た際には熱く燃えるシーンばかりに気を取られていましたが、ずいぶん歳を取ってから再見してみると泣きそうになるシーンも随所にある事に気付きます。
その一つが葉子の告白のシーン。
葉子というキャラは常に事態を達観視した上でビジネスとして割り切り、お高く留まって澄ましているような、ハッキリ言わずともあまり親しくなりたくないような高慢ちきな女性です。そんな葉子がジョーの身に迫った危険を知り、あくまで自分が動いてジョーにこれを知らせようとするあたりから、やっと(笑)人間味を見せ始めます。
そして件のシーンでは、冷静さを忘れて本能的なまでに、普段のような警告ではなく心から懇願し、自分の思いの丈を包み隠さずブチまけるのがいいんですよね。
葉子とは逆に、ジョーに好意を寄せてはいたものの途中離脱する紀子も切ないですね。ジョーは1ミリも気に留めていないんだからなおさら(笑)。
“それでも”、どこまでも付いて行けたとしても、やはりジョーに受け入れられる事はないでしょうからね。夢追い人ではない、いい相手を見つけて堅実な道を歩もうとする紀ちゃんの生き方はリアルな正解です。
“燃え尽きたジョーは死んだのか?”という疑問に対し、出崎監督の願いとしてジョーが生きている事を示唆する演出を加えたようです。
では、あの後のジョーはどうしただろう?
想像できる事はいくらかありますが、葉子と結ばれる事は絶対にないと思います。昨今の流行よろしく、ジョーと葉子(もしくは西と紀ちゃん)の息子がボクサーを目指すなんて超ダサな続編とか止めてよね(笑)。
個人的には、10年後くらいにはサチの家で寝泊まりして、パチンコで日銭を稼ぐようなヒモに近しい生活をしているんじゃないかと想像します。
そーいや……この劇場版にはテレビ(アニメ)版オリジナルキャラである、ルポライターの須賀清は登場しないんだな。彼こそ出崎節を、こぶしを回して歌ってくれるようなキャラなのになぁ。
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↑↑のBlu-ray版は画角が16:9なんですが、当時のテレビ版の画角である4:3の上下をカットしたものを引き延ばして16:9にしています。近頃のワイドテレビにフィットするための画角の調整って、スゲーふざけた話ですよね。特にアニメは上下の端っこまで描いてあるんだし、これをバッサリ切ってしまうのって無遠慮というか、無神経さすら感じます。近年ではテレビで再放送された際の『未来少年コナン』に関しても、とやかく言われてましたよね。
これに対し、↑のUHD版は本来の画角である4:3の映像が収録されているようですが、んま~高額。UHDのハードも持ってないし。
俺ッチが買ったのは、こっち↓。
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Blu-rayですが、画角は16:9か4:3の選択式。これが正解ですよね。
尚、こちらの再生方法はチト特殊なので、あまりオススメはしません。
特にリクエストはないだろうけど、この辺の再生方法に関しての特集、やってみようかな?