『あしたのジョー』を観ました。劇場版の方ね。
ドヤ街に流れ着いてきたジョー。喧嘩に滅法強いジョーにボクシングの才能を見い出した段平はジョーと組もうとするが、警察で騒動を起こしたジョーは鑑別所から少年院に送り込まれてしまう。
そこで出会った元プロボクサーの力石に大敗を喫したジョーは、少年院に届く段平の葉書にあるボクシングのテクニック、“あしたのために”を習得する。
しかし二人の決着が付く前に力石は出所。これに続くジョーもまたプロボクサーを目指し、大舞台での力石との対戦に臨む……といったお話。
“しごき”どころか、“根性”なんて言葉もそろそろ死語になりそうな昨今では、絶滅したに等しい“スポ根”ドラマの金字塔です。
心身ともに苦痛を伴わない練習方法や環境作りにばかり躍起になっていると感じる昨今のスポーツ界ですが、個人的に『あしたのジョー』(特に『~2』)は、普段アニメを見ないスポーツマン、特に男に観て欲しい作品です。
男として何かをやらなきゃならない境遇に陥った時の追い風になるはずですから。
常に心の片隅にジョーがいるだけで、いまの逆境を乗り越えられるモチベーションを得られるはずです。
その逆として、コテコテのアニメファンは触れなくていい作品です。
何しろ、あおい輝彦さん、細川俊之さん、藤岡重慶さん、檀ふみさん、岸部シローさんと言った、連中の大嫌いな顔出し俳優がキャスティングされているからね、若い人は知らない人ばかりでしょうが(笑)。
アニメ芝居に染まっていない俳優がメインキャラを演じるのは実に新鮮で、ちゃんと声量もあるから、少なくとも画に負けるような芝居にはなっていないと気付ける人は少ないんだろうなぁ。
段平のお節介を疎ましく感じ、その度が過ぎると手を出してしまうジョーですが、これを迎え撃つどころか、ねじ伏せられる実力を未だに秘めている段平がカッコ良いですね。ジョーのスパーリングの相手にすらなり得るんだから、なかなかの強さを持ってますよね。
若者に希望を抱いている大人の暴力は、若者の暴走を止める選択肢の一つです。段平がジョーを叩きのめすのは他の手段が思い付かないからであり(何しろ拳キチですから)、仕方ないからこそ故に悲壮感が漂っているようにも思えます。
指導する側が選手に対して、一切の暴力をふるう事が厳禁とされるような時代になってしまったので、今の時代にはナンセンスとなってしまうんでしょうがね。
余談ながら、俺ッチは“減量”という言葉を本作で知りました。
ぶっちゃけ、3日後にどうにか既定の体重まで落としたという一言で片付けてもいいんでしょうが、この過程を執拗に描いているのが良いんです。
『~2』では監督になる出崎統さんも言及していましたが、『あしたのジョー』という作品は、試合自体よりも試合前のドラマの方が面白いと言われる所以です。『巨人の星』も同様ですが。
ちなみに、本来なら当然の事なんですが、力石が登場する前半と後半で肉付きを描き分けている(ように見える)のは、時代の割にこだわりを感じますね。
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ありゃ、配信版はないのね。
俺ッチが買ったのは↑の方ですが、国内レコーダーでの動作は未確認なのでオススメはしません(俺ッチはプレーヤーで鑑賞したので)。