『1408号室』を観ました。
幽霊が出る噂のあるホテルに出向き、宿泊した体験談を綴った本で生計を立てているマイク。しかし、彼自身は幽霊に出くわした事もなければ、超常現象さえも信じてはいなかった。
マイクが次のネタを仕入れているところに届いた一通の葉書、そこにはニューヨークにあるドルフィンホテルの1408号室には入るなという一言だけが綴られていた。
好奇心に駆られるままドルフィンホテルに着いたマイク。支配人のオリンもやはり1408号室に泊まる事を頑なに拒否する。
1408号室は開業以来、156人の宿泊客が全て死に、入室しただけでも不幸な出来事が起こるという曰く付きの部屋だった。
オリンの忠告を聞かず、これを知った上で1408号室にチェックインしたマイクは……といったお話。
世の中にはわざわざ事故物件を探した上で住み込むような、怖れ知らずな物好きがいるようです。こういうのをエンターテインメントに変換できる神経があるからこそ長生きできるんでしょうがね。
本作の主人公マイクはその同族で、心霊スポットを巡る割には幽霊&超常現象といったオカルト現象をまるで信じず、単に作家として食い繋ぐためのネタくらいにしか思っていません。
要は、心霊やら霊魂をナメてるんですよね。
言い方を変えれば、本作はバチが当たった人間の顛末を描いた作品とも言えるでしょう。
余談ながら、俺ッチはその手のオカルト現象を体感した事はないだけで、あるかないかと聞かれればあるんだろうと答えます。
基本的には、曰く付きの部屋=1408号室に閉じ込められて苦しむ男を描いた作品です。
急にラジオが鳴ったり窓が閉まったりと、初めのうちは単なるアトラクション系ホラーっぽいシチュエーションでしたが、この辺はまだ軽いジャブですよ(笑)。
部屋の中で起きるオカルト現象が過酷すぎる上に、かつてマイクが経験した苦痛を掘り起こされるのも苦しみの一環と言えるでしょう。
では、何者がマイクを苦しめる指示を与えているのか?と聞かれても、これが分からない。
個人的な解釈としては、犯人は“誰か”ではなく、“何か”なんじゃないかと思っています。ホテルの支配人であるオリンも完全なシロではないでしょうが、どう結び付くかは熟考が必要そうです。事件の後の一言がヒントになるんでしょうが…。
これまで1408号室で死んだ人間が登場するあたり、彼らとのコミュニケーションが部屋からの脱出を図るための鍵と思いましたが、これも空振り。
そんな感じで、本作には多くの謎や伏線があり、それらが解決される描写はありません。
嫌らしい考え方をするなら、それを明解にするための場として続編が作れそうなものですが、未だにこれがないという事は、まぁそういう事なんでしょう(笑)。
何にせよ、答えがないのであれば、観る側である我々で勝手に解釈してもいいんですよね。
劇中における謎や不可解なシーンに意味付けをして、自分なりに納得させるための解釈をするのも映画の楽しみ方であり、映画で遊ぶとはそういう事です。
本作に関しても独自の解釈を綴るサイトは多々あり、中には、あ痛たたたなものもありますが(笑)、それでいいんですよ、正解はないんですから。
他人が考えた考察を噛みもせずに丸呑みして、あたかも自分の解釈のように吹聴する方が、よっぽどダサいですしね。
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Blu-ray版の映像特典の一つとして、別バージョンのエンディングが収録されています。しかも3パターンもあるんだから混乱しそうなものですが、観る人次第で好きに解釈してもいいよ?という表れなんでしょうね。
さらに本作を解析(?)したい人は、原作を読んでみるのもいいかもしれませんね。
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元々は短編で、↑の中の一編として収録されているようです。
俺ッチも読んでみたくなったなぁと思ったので紹介しておきます。