観た、『遠すぎた橋』 | Joon's blog

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『遠すぎた橋』を観ました。

 

Dデイ=ノルマンディー上陸作戦後、後退するドイツ軍を追い詰めながらも連合軍は補給不足に悩まされていた。

互いを敵視するアメリカのパットンとイギリスのモントゴメリーの両将軍が功名争いをする中、モントゴメリーは大掛かりな作戦を立案、政治的圧力を以ってアイゼンハワーの承認を得る。

マーケット・ガーデン作戦、それはドイツの占領下にあるオランダのアーネムに降下した空挺部隊が、後々に進軍する地上部隊をドイツへ侵攻させるために数ヶ所の橋を占拠するというものだった。

小さなトラブルを重ねつつも、次々に橋を占拠していく連合軍だったが……といったお話。

 

↑の粗筋を読む限り、『史上最大の作戦』と『パットン大戦車軍団』の後に本作を観ると、時系列的に史実通りの出来事として楽しめそう、かつ理解しやすそうです。

ヨーロッパを舞台にした第2次世界大戦を描いた戦争映画は多々ありますが、これらを俺ッチ限定の3部作と捉えています。

まぁ、『パットン~』はスピンオフ的な位置付けに近いかな? モントゴメリーとの確執や功名争いも描かれています。

 

本作は1977年の作品。戦争(or戦記)映画には兵器類が数多く登場しますが、60~70年代のそれらにおいては、特に乗り物に関しては本物を多用しているのが魅力。

カットとしてのダイナミズム=画力[エヂカラ]を見せるための合成カットはあっても、映っている物は全てが本物です。この頃の2時間半を超えるような戦争大作はこういうところをケチりませんしね。

数十機の兵員輸送機、そして、そこから降下する落下傘部隊が画面を覆い尽くす画には圧倒されます。

…ところで、ミリタリーマニアの諸氏にお尋ねするんですが、

↑この車、何て名前ですか?

この時代の割に面構成が箱っぽくないし(射角を浅くするため?)、サイズも小さくてカッコ可愛い。装甲車の世界にも軽自動車があるのか、みたいな(笑)。

 

この手の戦争映画で感じるストレスはいつも通りで、名前のあるキャラが多く登場するのは分かりますが、なかなか区別が付きません(笑)。オールスター14人が出演する中、俺ッチがパッと見て分かるのは5人くらいでした…。

余談ながら、これはBlu-rayのジャケットの裏にあるキャスト紹介。

これだけ見るとロバート・レッドフォードさんが主役=暗黙の了解で出番が多いキャラなんだろうと思いますが、レッドフォードさんが画面に現れるのは2時間を過ぎたあたりです(笑)。

この手の戦争映画とは戦記→劇っぽくないので、出ずっぱりの主人公みたいなキャラはいないんですよね。それ故、こういう並び順=ビリングにはあまり意味がないように感じます。

 

これまで“戦争に巻き込まれる一般市民”なんてシチュエーションは腐るほど描かれてきましたが、本作の場合はそれらとは一線を画していている点があって。

市街地が戦場になる事は多々あり、そこで壊される多くの建物には必ず所持者がいるはずで、その所有者を描いているのは考えさせられますね。

戦争は人間の命だけでなく財産や資産も奪い、考え方によっては死んだ方がマシと感じる人も少なくないはずです。持ち家という、これまでコツコツと働いてきた努力が不条理にも水泡に帰すんですから…。

数人の負傷兵を保護する程度だったはずが、いつの間にか負傷兵で屋敷内がいっぱいになってしまった夫人の行く末を見てしまうと、むしろこういう描写の方が戦争って嫌なものだなと強く感じさせられますね。

 

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…ありゃ、本作は配信版はないみたいですね。

しかもBlu-ray版は生産中止(中断?)なのかな、こんなふざけた値段では買わないように!と言いつつ紹介しているというアンビバレント。