観た、『めまい』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『めまい』を観ました。

 

自らの高所恐怖症が原因で同僚を死なせてしまった事から、ジョンは刑事を辞める。
ある日ジョンは、久々に再会した旧友エルスターより、様子がおかしくなった妻マデリンの監視を頼まれる。
尾行している最中、突然川へ身投げしたマデリンを救ったジョン。これをきっかけに、エルスターからの依頼を隠しつつジョンはマデリンと親密に、そして愛し合うようになる。
先の不可解な行動は自分に憑いている先祖のせいだと言うマデリンを、どうにかして救おうとするジョン。

またも自身の意識を失い、先祖が自殺したという塔に昇るマデリンを追うジョンだったが、高所恐怖症のために足がすくんで動けなくなってしまう。その間にマデリンは先祖と同様、塔から飛び降りてしまった…。
マデリンを失ったショックで鬱病に陥ったジョンだったが、どうにか退院。街を歩いている中、ジョンはマデリンの姿を見て愕然とする。しかし、それはマデリンに瓜二つの顔を持つジュディで……といったお話。
 
多くの人にとって本作は、アルフレッド・ヒッチコックさんの最高傑作と呼ばれているようです。
そんな言葉を真に受けて観てみた若かりし頃の、そして割と最近までの俺ッチには、あまりピンと来なかったんですがね。前半のペース配分が緩慢で、尺=128分が長すぎるとも感じます。
しかし今回の再見で、最高傑作とまでは言わなくとも、その面白さがようやく分かってきました。

…じゃ、のめり込めなかったのは何故?と聞かれると、まずヒロインであるマデリン&ジュディを演じるキム・ノヴァクさんが好みじゃないんです(笑)。
ヒッチコック作品のヒロインの中でも、そんなに綺麗に思えなくて…。まぁ、俺ッチの中の比較対象がグレース・ケリーさんじゃ勝ち目はないよな…。 
 
仲良くなれたから徐々に調子に乗って(笑)、ジュディをマデリンの姿に近付けようとするジョンの姿もキモく感じたものです。

死別して未練があるとは言え、元カノが着ていた服や髪を似せようとするとか、もう色々とヤバいでしょ。オジサンが娘くらいの歳の女性にコスプレを要求しているみたいで、チト怖いんだよ(役の割にジェームズ・スチュワートさんが老けすぎているのが良くなかったように思う)。
だからってこれが要らないシーンでは決してなく、病的までに未練がましいジョンに嫌々ながらも付き合ってしまう時点で、ジュディの真意も見え隠れするんですよね。
お互いに腹の底からの本音を言えない苦しさが根底にある、悲しい追いかけっこのようです。そして……そんな追いかけっこには意外な顛末が待っています。

マデリンは時折、先祖=カルロッタが乗り移ったかのような意味不明な行動を取ります。序盤でのマデリンはどこかミステリアスに描かれ、ジョンもそれに翻弄されているかのようです。
窓から顔を見せるマデリンを見たジョンがホテルに乗り込んでみたものの、従業員はそんな客は知らないと言う。部屋に行ってももぬけの殻で、路上に停めてあったはずのマデリンの車もいつの間にか消えていた。
…実はマデリンは幽霊だったのでは?という予想は、近代映画ではそろそろ使い古されたパターンですが、それはありません(笑)。
少々ボヤけ気味に映して、チト幻想的に見せている事から、そう結び付けたくなりますがね~。

影のある女性を愛する男を描いたロマンス作品に思えますが、中盤あたりからその様相に変化が現れます。

マデリンが死んだ本当の理由が語られ、実はスリラー作品だったんだなと。本作はこれが明らかになってからが本番です。

 

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Blu-ray版は相変わらず特典満載です。

ちなみに、今回の鑑賞は吹替版だったんですが、ジェームズ・スチュアートさんを担当するのは、俺ッチが贔屓にしている安原義人さん。
安原さんの起用は喜ばしいんですが、ちょっと声が若いかな?