観た、『幸福の黄色いハンカチ』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『幸福の黄色いハンカチ』を観ました。

 

失恋した欽也は、勢いで買った車と共に北海道旅行に向かう。

着いた先で欽也は、同じく傷心旅行に来ていた朱美と知り合い、半ば強引にドライブに誘う。その後、二人は勇作という男と出会い、3人での当てもない旅が始まった。

旅先で偶然知り合ったに過ぎなかったが、次第に気心の知れる仲になって行く3人。

そんな折、欽也が起こしたトラブルが元で警察に尋問される勇作は語る。自分は刑務所から出所したばかり、しかも殺人を犯していた事を……といったお話。

 

日本テレビさんに言います。

映画を世に伝聞させるべく、『金曜ロードショー』という枠を継続的に続けている姿勢には拍手を送ります。

その上で、注目作(=視聴率を取れる作品)を放送したいのも分かるんですが……たまには本作も放送してくれ! 

『幸福の黄色いハンカチ』と言えば『金曜ロードショー』的に感じている人って少なくない、つまり一種の伝統じゃないかと思うんですよ。

 

↑のジャケット写真を初め、本作のイメージビジュアルの多くもこんな感じですから、もはやネタバレ云々なんて次元をとっくに超越しています(笑)。

ネタバレ=オチを吹聴する行為とは、映画という娯楽の楽しみ方を知らない連中による一種のテロであると捉えていますが、そこで作品の全てが失われるものでもないんです。

仮にオチを知ってしまっても、そこに至るまでの過程を楽しむ余地は残されていますし、映画として観た時に自分がどう感じるのかまでは他人から知り得るものでもありません。

俺ッチなんか何回も観ている=オチなんか最初から知った状態で再見しても、しかも同じところで泣いてますからね(笑)。

本作はオチそのものではなく、そこまでのドラマの積み重ねからのオチで感動を呼ぶ作品なのです。↑の写真の後のシーンすら泣けますし。

…だからって、ネタバレを推奨しているワケじゃねぇからな?

 

「そんなの1枚だけ干しとくだけでいいじゃん?」という入門的ツッコミもあるでしょうが、そこを必要以上&大袈裟にやるのが映画=エンターテインメントなんですよ。

何故そんなにいっぱい掲げておくのか?と想像してみれば、さらに感動の深みが増すと思います。

 

俺ッチよりのひと回り、ふた回りも年上の方々からすると、当時の高倉健さんはヤクザ映画俳優と見なされていたようです。

そんな健さんが、それまでのイメージをブッ壊すかのような人情ドラマに出演するのは、当時としてはちょっとした衝撃だったんじゃないかと想像します。

刑務所から出てきた男の役は、ヤクザ役からの脱却を図ろうとする健さんの姿にもダブっているんですよね。

 

もちろん他人が考えた言葉ながら、特に男のあるべき姿を説くセリフは、健さんという俳優=フィルターを通すと説得力や信憑性が一気に高まりますね。

朱美に対してヒステリックになったり、体を欲しがったりする姿を見兼ねた勇作は、欽也に説教をします。

「…いいか、女子[おなご]っちゅうもんは弱いものなんじゃ。咲いた花のごと、もろい、壊れやすいもんなんじゃ。男が守ってやらないけん、大事にしてやらないけん」

どんな女性でも、↑のように思ってくれる男を本能的に信頼すると思うんです。

男らしいor女らしいなんて言葉にいちいち噛み付くような、“じぇんだー”なんて宗教が流行り出した発端には、欽也のような男が増えてしまったという背景があるからではないでしょうか?

…とか偉そうな言っている俺ッチも、そんな説教を受ける側の人間ですが(笑)、今の歪んだ時代であっても、女性の気を引くのが目的ではない、男が男として心掛けたい男性像が、本作の勇作というキャラにはあるんです。

 

基本的にはいいお話ですが、BGM(=劇伴)だけはもう少しどうにかならなかったかなぁ

そこで元気感のある曲調?みたいに、どうも作品の世界観に合っていないように感じるんですよ。逆に、劇伴までを含めたものが本作の世界観なんだと言われればそれまでなんですが。

ラストカット(間近)のシーンで流れるコミカル感すら漂う軽快な音楽とか、大クライマックスの余韻が違う方向へ流れてしまうというか…。それ、『トラック野郎』のラストカット用の曲ですやん…。

 

永遠に老けない健さん(笑)はさておき、武田鉄矢さん&桃井かおりさんの若かりし頃の初々しさも良いですね。

特に桃井さんは、若い頃の方がクセが強い(笑)。あの独特な喋りは、男で言えば田中邦衛さんに喩えられそうです。

 

健さん、タケテツさん、桃井さんといった主演の方々に次いで名前を連ねてもいいと思うのが、3人が乗る車マツダのファミリア

開幕直後はピカピカだったけど、ラストでの大疾走の時となると、もう泥まみれでボロボロ。そこまで満身創痍になってまで走ってくれる姿が健気で健気で、なぜか感情移入してしまいます。

このファミリアさんは助演男優(女優?)賞に、せめてエントリーだけでもさせてあげて(笑)!

 

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Blu-ray版の映像特典はトークショーの模様や予告編。

 

にしても、アメリカでのリメイク作『イエロー・ハンカチーフ』の予告も収録されていますが、こっちはBlu-ray化しないのかな?