『泣き笑い地獄極楽』を観ました。
柳亭三升[リュウテイ・サンショウ]は、噺の内容はそこそこながら、その後のひょっとこ踊りで人気を博している落語家。音頭取りの三味線を弾く銀子とは反目しあう仲で、今日も寄席の出来を罵り合っていた。
ある日、三升が寝泊まりをする師匠の家に、師匠の恩人の息子である弘が下宿者としてやってくる。三升が入れ込んでいる師匠の娘、雪子が弘と仲良くしているのを横目で見る三升は、気が気でならない。
雪子と弘が愛し合っている事を知った三升は、悲しみに暮れつつも潔く身を引く。
一方、師匠が三升と雪子を結婚させようとしていると聞いた銀子は、大阪へ向かう決意をし……といったお話。
インパクトがあるタイトルには惹かれるものの、俺ッチにとっては見た事も聞いた事もないところから始まった本作。
スタッフやキャストを眺めても、船越英二さん(田之倉孫兵衛!)以外に知っている人もいないし、能動的に見る理由は皆無。
…じゃ、何で観たの?と聞かれれば、先日、
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『釈迦』のBlu-rayを買ったんですが、そこに付属していたのが本作。
なんでも、未ソフト化の作品をDVDとして蔵出しした上で同梱する企画との事ですが……ぶっちゃけるまでもなく、フツーに要りませんよね。
歴史に埋もれそうな作品かどうかは知らないけど、『釈迦』というタイトルの作品に、落語界を舞台にした作品を抱き合わせるとか(笑)、どんなセンスなんだよ。昭和のガンプラやファミコンソフトじゃあるめぇし、そもそも今日びDVDなんか見ないんだよ。
…とか文句を付けつつも、付属するものであれば一度は目を通してしまうんだから、我ながら貧乏性ね…。
1955年=古い作品だからって偏見はないし、56分という中編程度の尺だから、まぁ一度くらいは目を通そうかなと気楽な気持ちで見始めましたが、それなりには楽しめました。次に観る機会はかなり先、もしくはないけど(笑)。
落語界が舞台という事もあってか、クスッと笑う程度のコメディ寄りの作品です。
↑の粗筋を見て分かる通り、基本的には恋愛ドラマで、三升✕雪子✕銀子という三角関係に弘が加わる事で、事態がメンド臭くなってくる様子がコミカルに描かれます。
雪子との仲は師匠も公認だったけど、三升が一方的にその気になっているだけで、雪子自身は気にも留めていない感じ。ましてや、三升との結婚については何も聞いてなさそうですね。それ故、雪子は三升にはいい顔をしておきつつ、弘と付き合う事になる。
二人の仲を取り持ち、自らは(涙してまでも)身を引く三升に対し、弘は感謝の意を述べるけど、この時に雪子はなーんにも言わないんだよね、ちょっとカッチーン(笑)。
普段は喧嘩ばかりしているけど、実は近くにいる大切な人に気付いた二人が結び付くのはお約束。
銀子が自分のために尽くしてくれた事を知り、舞台で銀子を思い出してしまった三升が言葉に詰まった時……この直後、ちょっとウルッと来ました。
感情表現が現代の作品ほど複雑に描かれる事もなく、本能的or直感的に伝わるのは古い作品の魅力です。ベタだっていいじゃないさ。
これって、ある意味では、現代のそれらよりも立派にエンターテインメントしているんですよね。
何だかんだで、温かい余韻を残してくれる、いい作品でした。
…とは言え、本作を観たいがために、
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を買うのは、絶対に違いますよ…?