観た、『イカリエ-XB1』 | Joon's blog

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『イカリエ-XB1』を観ました。

 

地球外生命の探索のため、宇宙船イカリエ-XB1はアルファ・ケンタウリ星雲に向けて飛び立つ。

長い航行の中で乗組員が時間を持て余す中、非常警戒のアラームが鳴り響く。航路上に漂流している宇宙船を発見したのだ。

船内を調べてみると、宇宙船は地球から経ったものである事が判明し、全ての乗組員は原因不明の死を遂げていた。その調査中、搭載されていた核兵器が爆発してしまう。

調査に向かった乗組員を失いながらもイカリエは航行を続け、ようやくアルファ・ケンタウリを発見する。しかし、その間に現れたダークスターが発する放射線により、乗組員は疲労感に襲われ眠りに落ちてしまい……といったお話。

 

周知の通り、映画史上において、宇宙を舞台にしたSF映画は『2001年宇宙の旅』を境に劇変しました

どこまでの影響を与えたかは分かり得ませんが、本作が『2001年~』の5年も前=1963年の作品である事を鑑みると、公開当時には前衛的に感じた観客も多かったんじゃないかと想像します。

 

本作以前にも飛行物体が宇宙を飛ぶ作品はあったでしょうが、それが“宇宙ロケット”ではなく“宇宙船”として、乗組員が船内で“生活”をしている描写があるのは、当時としては斬新だったんじゃないでしょうか?
船の操縦だけでなく、食事や運動や治療、さらにはダンスパーティーまで開催されるんだから(笑)、これは立派に“生活”ですよね。
さらに、目的地に到着するまで、宇宙船という(ずいぶん広めではあるけど)密閉空間で長い月日を過ごさねばならない事から起こるストレスを描いているのも新しい。
ダークスターの影響がクライマックスの引き金ではあるけど、ミハルのストレスが事件を大きくしている原因ですしね。これがなければ、さっさと治療して終わりですから(笑)。
本作は後年の『2001年~』に影響を与えたと言われているようですが、個人的には『宇宙戦艦ヤマト』に似た雰囲気を感じます(本作を知ってるスタッフはいなかったでしょうが…)。

 

宇宙船内は見どころの一つで、美術=プロダクションデザインが秀逸です。今の目にはレトロフューチャー→チト古臭くも感じるんでしょうが、そこがいい。モノクロ映像もスタイリッシュにすら感じます。

…ただ、これはあくまで宇宙船内のセットの話で、イカリエを含む宇宙船の外観のデザインに関しては、ちょっと現代には通じないかな…(笑)。

 

総括として、宇宙を舞台にしたパニックもので、お話に関しては普通ですかね。

放射能を恐怖の対象として描いているくらいで、SF作品について回る深いテーマやメッセージ性とかは特に感じませんでした。カルト映画としても、今一つパンチが足りない感じ?

 

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Blu-ray版の映像特典は予告編のみ。

キングレコードが発売するBlu-ray作品の例に漏れず、画質は良好です。