このところ妙にハリソン・フォードさんの作品を見たがる傾向にあるんです。もちろんハリソンさんは存命中ですよ、念のため。
って事で、『今そこにある危機』を観ました。
沿岸警備隊が取り押さえた船で一家が惨殺されていた。
殺されていたハーディンは、コロンビアの麻薬王エスコベドに雇われてマネーロンダリングを担当していたが、これを着服した疑いで殺されたようだ。
そして、ハーディンは大統領のかつての友人でもあった。麻薬カルテルの撲滅を謳っている大統領にとって、この事件はスキャンダルの火種。
体調不良に陥ったグリーアの命によりCIA副長官を代行する事になったジャックは、この件に関する調査を進める。
しかし、これを快く思わない大統領補佐官のカッターとリターは、大統領の言葉にならない意思を受け取り、独自の作戦を開始する……といったお話。
前作に比べて複雑度が増したように感じます。
特に登場キャラの背後にあるものや他のキャラとの相互関係が入り組んでいて、ちょっと飽きてボーッとしてしまうと置いて行かれる感じ。
この人は誰と誰との間にいる人?と、常に考えながら観ないと難しく感じます。
今作で描かれるのは、国を動かす高級官僚の汚職。
よくもまぁ、見返りばかり求める保身家や売国奴みたいな連中の多い事よ。
得てして、悪役とはヒーローを引き立てつつドラマを面白くさせる役を担っていますが、劇の中の悪役ながらも呆れますね。
似たような現実を見すぎているからかな(笑)?
ところで、これは洋画を見始めるようになってウン十年来感じていた事ですが、自国のスキャンダルを描いたフィクション(作れるだけでなく、映画として公開した上で大ヒットさせられる欧米諸国のエンタメ力(とイデオロギー)って羨ましいです。
それどころか史実に基づいているものさえあるんだから、ますます以ってね。
この辺に関しては、まだまだ日本は中国を笑えないんですよ…。
今作でのジャックは、“ボーイスカウト”と揶揄されるほどに真面目で、物事を白黒ハッキリさせないと気が済まないタイプ。
ハリソン・フォードさんが演じると、そんなイメージが相応しくなりますよね。
ジャックが尽力するのは、あくまでアメリカ国民のためであり、それを束ねるアメリカ大統領個人のためではないのです。
そんな潔癖さがあるからこそ、ラストでは懐柔される事を拒み、信念に基づく行動に走ります。ジャックのキャラを考えれば特に衝撃でもないラストだけど、意外性はあったかな。
“マネーロンダリング”なんて言葉が出てくるあたりが懐かしいですね。90年代映画あるあるですよ(笑)。
他に、手っ取り早く思い付くのは『ショーシャンクの空に』とかね。
『レッド・オクトーバーを追え!』『パトリオット・ゲーム』に続く今作を以て、ジャック・ライアンシリーズは個人的にはこれで完結です。
この後にも『トータル・フィアーズ』とか作られたし観もしたんですが、若かりし頃のライアンが云々とか、ちょっと馴染めなくてねぇ…。
さらにその後にも若い俳優を起用してライアンものを展開しているようですが、そっちは別にいーやって感じなので、興味が湧いた方はセルフでどうぞ。
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各作品、予告編&メイキング(当時を振り返る系)に加え、吹替版も収録した一般的な仕様です。
「ジャック・ライアンものは多々あるのに、なんでこの初期3作だけなんだYO!」と思うかもしれませんが、ジャック・ライアンに見せかけて、実はこれら3作に共通して登場する、ジェームズ・アール・ジョーンズさん演じるグリーア提督のサーガなんだと思い込みましょう。