観た、『カムイ外伝 月日貝の巻』 | Joon's blog

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『カムイ外伝 月日貝の巻』を観ました。

本作のタイトルには“忍風”の文字はないという、どーでも豆知識。

 

忍びの世界から抜け、逃亡生活を続けるカムイは海を渡ろうとするも嵐で船は難破し、小さな漁村の浜に打ち上げられる。

かつてカムイに救われた恩のある半兵衛とその家族のおかげで、カムイは一命を取り留めた。

目が覚めたカムイは、半兵衛の妻を見て慄然する。自分の言葉を信じてもらえず否応なしに戦った抜け忍のくノ一、スガルだったのだ。

どれほど敵ではないと説得しても、家族との幸せを壊したくない一心から、スガルはカムイに殺意を向ける事を止めない。

そんなスガルと、事情を知らない半兵衛夫婦の娘サヤカが寄せる無邪気な愛との間で苦悩するカムイは……といったお話。

 

テレビシリーズ『忍風カムイ外伝』の終盤を一編にまとめた劇場版です。

話が暗いだの打ち切りだのと言われていながらも、ムック本が出版されただけではなく(昭和の頃はムックが発売されるのは人気を表すバロメーターだったように思う)、こうやって劇場版まで製作されるんだから、熱気あるファンの間では人気だったんでしょうね。諸先輩方、分かっていらっしゃる…。

 

再編集という体を取っていながら、わざわざ新作カットも作っているんだから、地味に力が入っています。

かなり描き込まれてはいるものの、画風がチト違うので違和感は免れませんがね。

ちなみに、新作カットの3~4割はサヤカの裸です(スガルまでも…)。

 

テレビ版は基本的に1話完結式でしたが、21~26話=最終回までは連続ものになり、スガルを初めとしたカムイ以外のレギュラーキャラも多く登場する事で人物描写が深くなり、ドラマチックな要素が強くなりました。

見どころとしてはサヤカとの関係でしょう。親しくなるのは動物ばかり(笑)だったカムイに、女子との色恋ネタが付きまとうようになるなんて誰が想像していただろう…

 

殺伐とした抜け忍の世界を知っているからこそ、純真無垢なサヤカがカムイに近付く事を恐れるという、スガルの苦悩もいいですね。サヤカだけではなく、半兵衛や多くの子供たちを含んだ家族とは、スガルにとっては幸せの象徴。

それを壊されてしまうのを恐れ、カムイを頑なに拒否するのは、幸せに貪欲だからこそなんですよね。

誠意を見せるカムイを徐々に信じられるようになった事で、毒っ気が抜けてきたスガルでしたが、それ故に起きてしまう悲劇。

スガルの、他人を信用してはいけないという信念が最後まで変わらなかったのは、実に哀しい…。

 

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俺ッチが買ったのは↑↑↑のBOX版ですが、廃盤になった模様。今であれば、↑↑と↑の新盤しかなさそうです。