『パルプ・フィクション』を観ました。
レストランで強盗を働こうとするパンプキンとハニーバニーのカップル。
ボスであるマーセルスを出し抜こうとしたグループの元に殴り込みをかける、ギャングのヴィンセントとジュールス。
ヴィンセントと踊り明かした後、ドラッグのオーバードーズにより意識を失う、マーセラスの妻ミア。
負けるはずの八百長試合で勝利し、マーセラスに追われるボクサーのブッチ。
無縁に見える彼らの、波乱に富んだ一日を描くお話。
いつものような粗筋を綴れなくてしっくり来ないんですが(笑)、一本筋のストーリーもないし、オムニバス形式でもない。
なら、本作はどんな話なの?と聞かれて言葉に詰まってしまう、自称映画マニアは少なくないと思います。
そこで俺ッチが思い付いた答えは……まぁ『サザエさん』みたいなものだよと。
『サザエさん』は基本的に、数多く存在するレギュラーキャラの中の数人が、それぞれの場所でちょっとしたドラマを展開します。一本筋のストーリーはなく、各方面で起きるドラマが他のそれらとリンクし、そんな小さなエピソードを集めて一編とする作りです。…これって、本作の構成と似てませんか?
ここに、各エピソードの時間軸をあべこべにする要素を加えれば、『サザエさん』でも『パルプ・フィクション』ができるんですよね。あくまでシステムとしての話ですが。
今では日本でも周知度が高いクエンティン・タランティーノさんの監督作品です。日本人にも馴染ませようと、“タラちゃん”なんて愛称を定着させようとするマスコミの、浅い目論見は失敗に終わっていますが(笑)。
メジャーデビュー作『レザボア・ドッグス』公開時、コアな映画ファンや評論家の間でタランティーノさんの名が轟き渡り、時代の寵児ともてはやされました。
本作は待望の第2作目の監督作品という事で、公開前の期待度も高く、公開してからも絶賛の嵐が止まない状態が続きます。
映画(洋画)ファンを始めた頃である俺ッチも、映画ファンの先輩の言葉に倣い、勉強する意味も含めてタランティーノ作品を多々観てきたものです。挙げ句には、
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こんなのまで買っちゃって、あ痛たたたな若かりし頃の自分に失笑します(笑)。
こういう自伝系って、大概つまんねーんだよな…。
『レザボア・ドッグス』では劇中のセリフ、というより会話のセンスが秀逸であるという旨の評論が多かった記憶があります。ドラマには全く関係のない、他愛もない会話が多いのは珍しくあり、新しくもあったんですよね。
本作でも、そんなタランティーノ節全開です。
この作品に寡黙なキャラはいないのか?と思わせるくらいに、キャラというキャラがよくもまぁペラペラと喋りまくるんだから、字幕の文字量が半端じゃなく多い。
どこまで忠実に訳しているかは知らないけど、字幕アレルギーのある人は吹き替え版を観た方が良いと思います。
そんなタランティーノ作品に世間が過剰に熱狂する理由が分からなかった、若かりし頃の俺ッチ。
そこから四半世紀以上も歳を取り、久々に再見しましたが……感想は当時とさほど変わりません。
これ、そこまで面白いんですか?と。
もちろん、キャラの魅力や会話には光るものを感じますが、一貫したストーリーもなく、多くの映画には確実にある作品のメッセージみたいなものが皆無に等しい。
そこで思い出すのが開巻直後に出てくる、“PULP”という言葉の解説。“質の悪い紙に印刷された、くっだらねー内容の出版物”といった旨のものなんだそうです。
なるほど、映画(=本作)を出版物と置き換えれば、支離滅裂で滅茶苦茶な寸劇を集めた雑誌に喩えられますね。
つまり、いかにも映画的な内容じゃねーから気楽に見なよ?というメッセージを含んでいるのかもしれませんね。かもしれません。
本作にが作品のために書き下ろされた音楽はなく、すでに発表済みの楽曲を寄せ集めています。
本作を知らなくても、多くの人が聞いた事がある↓も、その中の一つ。
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『Misirlou(ミザルー)』というそうです。
洋楽はサッパリな俺ッチですが、この他にも本作の世界観にマッチしているような楽曲が多いと感じます。サントラ(厳密にはサントラとは呼べない?)も買っちゃったし。
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音楽だけでなく、僅かながら劇中のシーン(のセリフ)も収録されていますよ。
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↑のBlu-ray版は、予告編と吹き替え音声のみの最低限仕様。
トップメニュー(らしき画面)で吹替キャストが表示されますが、一度は吹き替え音声で鑑賞して見たくなるような、少なくとも日本ではオリジナル版に負けないくらいの豪華キャストですよ。