『仮面ライダーJ』を観ました。
環境の汚染調査をするカメラマン瀬川耕司と、耕司を兄と慕う加那は謎の3人組に襲われる。
彼らの正体は、地球にやってきた宇宙機械獣フォッグ。首領フォッグマザーの子供らを孵化させるための生贄として加那をさらい、耕司はフォッグの王子ガライに殺されてしまう。
しかし、耕司は地底に住む地空人の手により、精霊のパワーを宿すJパワーを秘めた仮面ライダーJとして蘇る。
加那を救い出すため、次々に怪人を倒すJ。ついにフォッグの地上戦艦に乗り込み、ガライとの決着を付けるJ。
捕らえられた加那を見つけ出すも、窮地に陥るJに奇跡が起こり……といったお話。
『仮面ライダークウガ』より始まった仮面ライダーシリーズは、便宜的に“平成ライダー”と呼ばれますが、本作や『仮面ライダーZO』『真・仮面ライダー 序章』は、平成の作品でありながら“平成ライダー”にあらずという、ビミョーな立ち位置の作品です。
かつて『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』という、平成ライダーと昭和ライダーが対立する作品がありましたが、昭和と平成の橋渡し的な役割でシン・ZO・Jらが登場するという展開を期待したものです。
それがあんな出来になるとは…(笑)。
本作最大のトピックは、史上初である仮面ライダーの巨大化ですかね。
この頃のバンダイのトチ狂ったムチャ振りに比べれば、最近のライダーやスーパー戦隊はずいぶんマシな環境になりましたね。
監督である雨宮慶太さんも巨大化に関しては、もちろん(笑)反対したそうです。
が、どうせやるならという意気込みは伝わり、巨大感の表現というか、着眼点はさすが。
アスファルトにめり込む足や、山道から見えるJの横顔のショットは、今の目で見ても新鮮です。Jの身体の色の彩度を下げたり、始終無言だったり、細かい点でこだわっているのが分かります。
ウルトラマンやスパ戦で定着してしまったお約束描写を見直している点が良いですね。
宇宙人にさらわれた加那ちゃんを助けるぞ、変身!――ディテールがなければそれだけの、実に薄っしぃお話です。まぁ、脚本が上原正三さんならねぇ(笑)。
上原イズムでもある、ちびっ子(女子)を準主役にしちゃう点は相変わらずですね、生贄とかも(笑)。
加那ちゃん加那ちゃんと、耕司=20代の青年が10歳くらいの少女の名を呼びまくるのは、小うるせー現代ではアウト寸前ですよ(笑)。
…けど、これこそが耕司の行動原理なんですよね。仮面ライダーに改造され、暗黙の了解でフォッグの壊滅を強いられますが、耕司にとってそれは二の次の話。
ライダーになってもorならなくても、あくまで大優先させるべき目標は加那の救出。
世界やら地球やらの平和なんか後回し、まず第一に自分の身を案じてくれる男子にキュンとするでしょ、女子の皆さん?
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Blu-ray版は画質は良いけど、何しろ値段がド強気ですからね、オススメするなら配信版かな。
映像特典はレーザーディスク版から全く同じもので、新規の特典と言えばペラいブックレットの雨宮慶太さんの新規インタビューくらいです。
加えて、前作(的なポジションにある)『仮面ライダーZO』もそうでしたが、本作も主題歌が良いんですよ。
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エンディング~エンドクレジットは、Jがバイクで走るだけのシーン(?)なんですが、湖の周りのコーナーばかりの道路ながら、かなりスピードを出しているんでしょうね、疾走感があって実にカッコ良い。
主題歌と画面の相性が良くて(マッチしているわけではない)、本作を観終えると、エンディングを何回かリピートしちゃいますね。
仮面ライダー全般において、バイクで走ってるシーンで一番カッコ良いのは?と聞かれれば、真っ先に本作のこのシーンを挙げます。
おそらく、バイクで走行する歴代最長カットもコレなんじゃないかな?