『激突!』を観ました。
商談に向かうため、車を飛ばすデイビッド。
先を急ぐデイビッドは、道中で巨大なタンクローリーを追い越す。その後、2台はまるで競うかのように追い越し追い越されを繰り返す。
事態はエスカレートし、タンクローリーが明らかに自分の命を狙っている事に気付いたデイビッドは……というお話。
数年前に日本で大ブームとなった、煽り運転。あのバカが火付け役となってくれた事で、今では煽り運転の規制が厳しくなりました。
そこで本作を結び付けるような、三流ネットライターみたいなダッセー真似はしないけど(笑)、車を運転する身であれば誰しもがこれに近い体験をしているという意味で、すぐそこにある恐怖を描いた、身近系パニック映画と呼んでもいいんでしょうね。
それ故、否応なしにも主人公デイビッドに感情移入するのは当然だと思います。逆に、トラック側に肩入れしてしまう人は、色々と行いを改めよ(笑)!
本作の尺は90分。
人間(が運転する車)対怪物視されるトラック、2台の車の攻防(?)を描く内容ですが、正~直、それだけなら30分で終わりますよね。『ミステリーゾーン』で済んじゃうというか(笑)。
まぁ、それを言っちゃうと、デイビッドが車から降りているシーンのほとんどが不要になってしまいますが、それらがあっても決して間延びする事はなく、デイビッドというキャラの掘り下げや、トラックの不気味さを増すために、むしろ不可欠なシーンになっていると思います。
何度か観ている人は、そっちのシーンの方に魅力を感じてくるんじゃないかな?
前を走っている車が遅いから追い越した、それが本作の事件の発端です。
それがいけなかったと断罪するのは安直で、ここでデイビッドが車から降りているシーンがあるからこそ、デイビッドの背景を知る事ができます。
デイビッドが事件のきっかけを作ってしまったのは確かです。が、仕事の都合による時間制限付きの長距離ドライブに加え、私生活=家庭の不和がデイビッドの脳裏によぎっています。
要は、ソワソワ&イライラした状態での運転だったんじゃないかな?と。
平常心を失った状態での運転は、少なからずのアクシデントを発生させるものです。偉そうに言ってる俺ッチも、ヒヤリ&ハッとの経験は多々ありますから(笑)。
煽り運転自体ではなく、運転する際の心構えこそが本作のメッセージ、もしくは教訓だと思います。
「あのくらいの車なら、タンクローリーくらいブッちぎれるんじゃない?」とも思うんですがね。
インパネにあるギア表記を見る限り、あれはAT車って事で、そこまでのスピードは出なかったんでしょうと解釈。大衆車という点にも身近感というか、リアリティがあって良いんです。
余談ながら、車のメーターがマイル表示なので、日本人には直感的に緊張感を抱かないかもしれませんね。
ちなみに、1マイル=1.6キロメートルと豆知識。
って事は、やはりというか、かなりのスピードは出ているんだよな…。
クライマックス、デイビッドとトラックとの決着は付き、物語は終わります。
別に描かれる事はありませんが、ここからデイビッドのいくつかの苦難が始まる事を想像するのは難しくありません。
その中の一つとして、俺ッチが真っ先に考えたのはコレ。
「どうやって帰ろう…」
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知っている人は知っているし、Blu-ray版の映像特典でも言及されていますが、本作の出自は1971年のテレビムービーです。
となればスクリーンサイズは4:3が正解ですが、再生してみれば、現在主流となっている(ワイド)テレビの画面の左右がフィットしている、つまり4:3画面の上下を切り落とす=トリミングして大写しにしているんですよね。
4:3で撮られた古い作品を、ムリヤリにでもテレビにフィットするような風潮は嫌ですね。当時は使い捨てが前提のテレビ作品だって、こだわり抜いて撮影していた(ものもあった)であろうに、そんな苦労を足蹴にするようです。
テレビ放送なら仕方ないけど、情報が欠如したものを掴まされているようで損した気分になりますから、お金を出して買うソフトにする際には、当時の画角は必ず再現して欲しいです。
あと、『ムーンウォーカー』もな!