観た、『サタデー・ナイト・フィーバー』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

外出の自粛が推奨される昨今、せっかくの土曜の夜に出掛けられないからこそ(←別に普段も出掛けないだろ)、せめて気持ちだけでもという事で、『サタデー・ナイト・フィーバー』を観ました。

 

昼間はアルバイトに励むトニーは、夜になれば不良仲間とディスコに行き、得意のダンスで注目を浴びていた。

次のダンスコンテストが近付く中、ステファニーの踊りに魅せられたトニーは、パートナーのアネットと練習を続けるものの、いまいち気乗りがしない。

パートナーの申し入れを受けたステファニーと練習を続けるトニーだったが、自分とは全く違うタイプのステファニーとは反目し合ってばかり。

単にダンスコンテストのパートナーでしかなかった2人の距離は徐々に縮まり、ついにコンテスト当日がやって来る……といったお話。

 

ひと言で言っちゃえば、ダンスコンテストの優勝を目指す男女がディスコでフィーバー&イェーイといったお話ですが、そんなに単純明快ではなく、それどころか割と暗めの話です。

大局的に見れば、人生の分岐点に立ったトニーの青春映画であり、ダンスはそれを描くための一つの詭弁なんですよね。

それ故、青春映画としてorダンス映画として、どっちの視点で見てもそれなりに面白く感じさせるんですよ。

A級映画にはチト遠いながら、ジャンルに偏る事なく及第点以上の作品を作るジョン・バダムさんは好きな監督です。ほぼハズレがないというか。

地味に、ラストカットがやや暗めなのが特徴かな(笑)?

 

やはり本作のメインの見どころはダンス。

トニーを演じるジョン・トラボルタさんのダンスが話題になったそうですが、なるほど、これだけでも一見の価値はありますね。

現代の視点からすれば、チト物足りなく感じるかもしれません。ここ数年のダンス文化が急激な進化を遂げているからかな?

 

酒・タバコ・ドラッグ・セックスに浸る不良仲間と付き合ってはいるものの、それらにはほぼ興味がないどころか、友人関係を断ち切りたいとすら感じているトニー。

趣味=自分が打ち込めるものを持っているかいないかの差ですよね。一途にハマれる何かがあれば、他の事に掛ける時間なんてないですから。

それに加えて、ちょっと複雑な家庭環境も絡んでいるので、トニーにとってのダンスはちょっとした現実逃避にもなっているんじゃないかな。

 

本作のヒロインであるステファニーは、お上品気取りで澄ましてばかりいて、なかなかムカつきます。学もなく、チンピラ同然で育ちも良くないトニーを見下してばかりいるあたり、スゲー嫌な感じ(笑)。

まぁ相手が女性ですから、ダンス以外でも親しくなりたい欲が出てしまうのは当然ですが、どうにかステファニーにナメられないように努めるトニー。

別の言い方をすれば、歳上から学ぼうとする姿勢は持ち合わせているんです。

このあたりからも、不良仲間に嫌気が差している理由が察せられますね。

 

トニーの仲間が何者かにボコられて入院されるくだりがあります。

トニーたちがあんなだから、似たようなグループ同士の抗争に思えますが、相手はプエルトリコ人って事で、この頃はプエルトリコ人を目の敵にする風潮が強かったんでしょうかね。

同じくニューヨークが舞台の『ウエスト・サイド物語』でも似たような事をやってましたしね。

 

往来の激しそうな通りに車を停めて、そこでカーセックスをしちゃうあたり、当時のヤングなアメリカンは奔放この上なかったんでしょうね。特に人目をはばかる事なく、男も女も激しく叫ぶんじゃうんだから、割と衝撃的なシーンです(笑)。

 

ダンスコンテストの結果を知り、それまでに抱えていた鬱憤を爆発させるトニー。

家庭の事情やら友人関係やら、まるで虚偽に満ちた世界からの脱出を図るかのようであり、同時に子供じみた自分と決別した瞬間です。

本作で描かれるのはトニーの青春と、その終焉。

エンディングの後、トニーはもうディスコに行かないどころか、もう踊る事をしないんじゃないかと。人前に出るような目立つ真似はせず、地道に働きながら暮らす人生を歩むと想像します。根は真面目だし。

マンハッタンに来たのも、ブルックリンでの子供じみた生活から抜け出そうとする意気込みでもあったんでしょうね。

…と、観終えた後でそんな想像をしたんですがね。タイトルだけは知っていたものの、『ステイン・アライブ』という本作の続編があったと知ったのは最近ですが、粗筋を知って俺ッチの想像は崩壊しました…。

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…ト、トニーさん、何故そんな体型にっ(笑)?

一見したいものですが、Blu-ray版の発売、ないかなぁ…。

 

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↑のBlu-ray版は映像特典満載。

出演者が揃って当時を振り返るドキュメンタリーがありますが、大方の想像通りトラボルタさんは出ていません(笑)。座長がいないとか、ガッカリさせるよねぇ…。

 

ちなみに、本作では8言語の字幕が収録されています。

例えば劇中で歌が流れるとして、その際は画面右に縦書きで歌詞が、画面下部にセリフの字幕が表示されるのは当たり前のように思えますが、これって日本語字幕だけの風習のようです。他の言語で表示させると、セリフの表示だけなんですよね。

縦書き文化バンザイだ!