『オーシャンズ』を観ました。
いつものように粗筋を紹介したいところですが、ドキュメンタリー作品なので、主張はあってもストーリーはないので割愛です。
個人的に、海の中って好きなんですよ。魚がゆったりと、しなやかに泳ぐ姿に癒しを感じます。
実際に潜って、全身で海中の世界を楽しむのが好きな人もいますが、インドア野郎の俺ッチはそんな映像で十分です。疲れるじゃない(笑)。
本作は水棲生物のみならず、海そのものとしてフィーチャーしているのが良いですね。
海面や海中や海底と、色んな海の姿(?)を堪能できます。
今を生きている日本人の多くは3・11以降、波の猛威を思い知らされましたが、漁船やら軍艦やらが荒波によってひっくり返りそうになる画は圧倒というより、恐怖すら感じます。
キャストは水棲生物の皆さんですが、監督の言う事を全く聞かない役者でもあります(笑)。
それ故、本作は1テイクの一発撮りみたいなものですから、1カットの重みが違いますよね。
何百匹と集まった魚が球状の群れを成す映像とか、よく撮れたなぁと思わせる奇跡のカットの連続です。
愛らしくもあれば残酷でもある生物や、穏やかでもあれば厳しくもある環境等を偏らずに映します。
“○○のように生きてみたい”という願望のまま、そんな世界に放り出されても、ノホホンと生きてはいられない事を教えられます。
魚や動物がいっぱい出るからと言って、特に幼児に見せるのは時期尚早な作品です。
OO7シリーズの『私を愛したスパイ』の悪玉である海運王のストロンバーグも言っていましたが、地球には海という未開の地がありながら、なぜ人間は宇宙にばかり目を向けるのだろうと。
おっしゃる通りで、今のところ宇宙への進出とは、そこまで必要に迫られているわけでもなく、興味本位に始まる研究&開発→自己顕示欲を満足させる程度でしかないんですよね。
地球温暖化云々とか言うのなら、宇宙に救いを求めるよりも、自分らの星の7割を占める海についての研究(や開拓)を優先すべきじゃないかと思うんですよ。『宇宙の騎士テッカマン』よろしく、地球を棄てて(!)別の星への移民が目的ならまだしもね。
本作に限らず、この手の海洋ドキュメンタリー作品を観れば、現在の人類の文明レベルで実感できる宇宙より、実は海の方が遥かに広く感じるはずです。
海の中の映像で癒され気分に浸りたいところですが、環境破壊を止めようとか、海洋生物の命を守ろうと言った、言葉を使って主観を押し付けてくる→説教臭いのが気になるかな?
大人だけでなく、勘のいい子供ですら、言葉を使わなくても本作のメッセージは伝わるはずです。
網に絡まって動けなくなったり漁で狩られる魚たち、特に後者、銛を打たれて魚が流す血によって、それまでの青々とした映像が一転、文字通りの血の海になる画は胸が痛くなりますね。
特に、ヒレや尾を切られた姿でリリース(と呼ぶより投棄!)されるサメが痛々しいです。もはや泳ぐ事もできず、各部から血を流しながら海底に沈んでゆく姿には目を背けたくなったな。釣り上げた1頭丸ごとを食材にするならまだしも、要らない本体は元に返す――フカヒレスープの材料調達の実態はこんな感じらしいです…。
人間のせいで住みにくい環境になってしまった水棲生物の皆さんにはご迷惑をお掛けしますが、もうしばらくは辛抱して下さい。
今の調子で行けば、何千年も待つ事なく、君たちしかいない世界が来るであろうから…。
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↑↑の吹き替え版は、宮沢りえさんがナレーションを担当しています。本作の雰囲気に合ったキャスティングかも。エンディングのテーマソングも日本版になってるんですね。
↑のBlu-ray版は映像特典満載で、メイキングを見ると、ホンット~に根気の要る撮影だったんだなと、気が遠くなります。
ナレーションを排したBGV機能もありますが、片手間に見るには勿体ない作品ですから、これは個人的には使わない機能かな…。