観た、『必殺! 主水死す』 | Joon's blog

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『必殺! 主水死す』を観ました。

 

大奥の、将軍の世継ぎ・家定の生母であるお美津はかつて双子を産み、一方を家定とし、もう一方を捨て子にした過去があった。

お美津と対立する大奥上臈[ジョウロウ]年寄・姉小路は、双子の片割れを使ってお家乗っ取りを画策、手下の女たちに双子の片割れの捜索を命じる。

一方、姉小路の計略を知ったお美津は、権の四郎が率いる葛西組を使い、片割れの抹殺を命じる。

その頃、江戸の街では大道芸人のお夢と、双子の片割れである捨蔵[ステゾウ]が狙われているところを主水が救い出す。

お夢は、20年前の顔馴染みであったお千代である事を見抜く主水。さらに主水は、かつての仲間であり、お千代の夫だった四郎との再会を果たす。

四郎の助けを受けつつ仕事は果たしたが、もう一つの決着を付けるため、主水は四郎とお千代の元へ向かう……といったお話。

 

中村主水を演じていた藤田まことさんが亡くなった今でも、『必殺仕事人』は不定期的に作られていますが、今のところ必殺シリーズの映画は本作が最終作となっています。

何しろ、サブタイトルが“主水死す?”ではなく、“主水死す”ですからねぇ。昨今の“さらば”とか“最終”とか言っておきながら何事もなかったように続編が作られるような、いわゆる“終わる終わる詐欺”と呼ばれる事もなく、しっかり完結しています。

…ただ、これは劇場版に限った話。本作の後に作られたテレビスペシャルでは、フツーに主水さんが登場していましたからねぇ…(笑)。

 

今作で劇場シリーズは6作目。

まぁ、よく続いたなと思う反面、1&2作目のような豪華スター勢揃いと言った趣は皆無に等しく、名前のある役なんかは、ずいぶん減っちゃったよね。

入れ替わりに関して明確な説明とか別に要らないけど、主水の仲間なんて、とうとう秀と勇次しか残ってないし(笑)。

逆を言えば、それこそ1&2作目に出演する豪華スターの半分は、ほとんど顔見せだけの色物キャラばかりだったから(笑)、シリーズ後半に向かうに従って、ストーリーとしてもかなりスリムになったように思えます。

 

お話の展開は毎度のセオリー通りです。

いつも通り過ぎて、サブタイトルで死にます宣言をしているにも関わらず、主水さんの身に危険が迫る気配は一向にありません(笑)。

必殺シリーズを知る人は、イコール中村主水を連想でしょうから、これで見納めだと気構えて鑑賞に臨むものの、あまりにも主水をフィーチャーしなさすぎる作風にフラストレーションを感じる人は少なくないと思います。

…だが待ってくれ、ここでテレビ版を思い出して欲しいんですよ。

例えば冒頭で『主水、ヘソクリを盗まれる』といったサブタイトルが出るのに、冒頭から仕事のシーンが終わるまで観ていてもヘソクリが盗まれるシーンなんて出てこないと思ったら、毎回の締めである中村家のシーンにおいて、やっとヘソクリが盗まれる……みたいな回が多かったじゃないですか、あれと同じシステムなんです(笑)!

 

今作には仕事のシーンに加え、さらにもうひと山あって、主水・四郎・お千代という2人の男と1人の女――顔馴染みであった3人が、最後の最後に過去のしがらみを清算する事になります。

それぞれの去就に関しては伏せておきますが、ちょっと難解なところがあります。別名、「何で?」というか(笑)。

意味が分かんなかったり曖昧だったりするのは、映画であればオッケーじゃないかと。そんな余韻を自分なりに想像や解釈するのも映画の楽しみ方の一つ。1から10までクドクドと分かりやすく説明するのはテレビドラマに任せればいい……と、個人的に考えます。

だからこそ、なぜ主水がああいう結末を迎えたのかを、自分の感受性で答えを出してみるのもいいんじゃないかな。

 

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…ん~、↑の店での口コミでは評価が低いですねぇ。やはりというか。

レビューを読む限り、歴代ライダー大集合よろしく、これまでの仕事人の面々が総登場しているだけで満足&納得しちゃう手合いが多いんだろうな(笑)。

主水の結末に納得が行かない人は少なくないだろうけど、必殺シリーズは無常感が漂うドライな世界。いつ、誰がどんな殺され方をしてもおかしくないかは、3作目『~3 裏か表か』で実証されたようにね。

必殺シリーズは、つい、そんな見方をしてしまいがちですが、決してヒーロー作品ではないのです。