『勝手にしやがれ』を観ました。
なんでしょうね、カタルシスなんか1ミリもない作品なのに、けっこうな頻度で観てしまうんですよコレ。90分という尺の短さも、サクッと観るには丁度いいしね。
「海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、勝手にしや
がれ!」
このイミフなセリフをパワーワードに感じるようになったら、本作の虜になった証です(笑)。
どうも本作の評価や感想というと、斬新な映画的な手法が云々って話ばかりなんですよね。マニアを自称する人に多そうな傾向かも。
別に映画人だけに向けた作品じゃないんだから、我々のような観客は単なる娯楽として楽しもうよ!と思うんです。
…思うんですが、やっぱり突飛な撮り方の印象が強すぎて、お話が入って来づらいのも事実。
無意味に思えるセリフも多すぎるし(この辺はフランス映画の典型に思える)、ミシェルとパトリシアが部屋でじゃれ合うシーンなんて、その極み。
これは2人の距離感を現すシーンだとは思うんですが、ムダで長く感じます。俺ッチの場合、このシーンで必ず睡魔がやって来るんですよ…(笑)。
回を重ねて観るごとに思うのは、主人公のミシェルさん、本気でクズ人間です。
基本クズであっても、“たまに見せる人間味のある言動のおかげで、実は根っこはいい人”というキャラが登場する作品は多々ありますが、本作のミシェルに限っては100パー身勝手なクズです。
日替わりで車を盗むわ、警官は殺すわ、女の財布から金を盗み出すわ、タバコを吸いまくる挙げ句に窓からポイ捨てするわ、しょっちゅう女性をバカ呼ばわりするわ、どこから更生すればいいのか分かりません(笑)。
とは言え、俺ッチの場合、ミシェルに何となく愛嬌を感じるのが、本作をリピートする理由の一つなのかもしれません。
こんな無法者が主人公という時点で感情移入しにくい→モラル的に受け付けない人もいるでしょうが、これを容認できるかどうかで本作の評価が変わると思います。
観客以上に、ミシェルを容認できるかどうかという立場にいるのはパトリシアです。
でも、この人もこの人で、ミシェルを愛してんだか愛してないんだか、よく分かんないんだよね(笑)。
ちょっと遊んだ程度のミシェルに付きまとわれ、それがまんざら嫌でもないから付き合ってやってるみたいな感じです。
“LIKE”と“LOVE”の間の絶妙なラインを行き来するような、達観した恋愛観とでもいうんですかね。
それなりには好きだけど、犯罪者であっても愛し抜けるほどには好きじゃないというドライな面も見せたり、まぁ恋愛映画ではないから、そこまで明確に描写する必要はないけど、パトリシアの心情が曖昧で、そこに入れ込んでしまったミシェルの結末を考えると、ファム・ファタール=悪女モノというジャンルに属してもいい要素を持つ作品なのかもしれませんね。
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同じblu-rayですが、↑↑と↑では字幕が異なります。
↑のカナル版は、字幕のフォントや配置等がクソすぎてストレスに感じますが、最近になって字幕(の翻訳)としてのセンスは悪くないと気付き始めました。たまには、こっちを観ようかな…?