『ブロークン・アロー』を観ました。
アメリカ空軍のパイロットであるヘイルとディーキンズに、核弾頭を乗せたステルス機の飛行演習の命令が下る。
ステルス機の特性を活かし、管制塔のレーダーから消えた隙を突いて、ディーキンズは突然ヘイルに襲い掛かる。必死で抵抗するものの、ヘイルは機外に放り出されてしまい、2基の核弾頭が投下されてしまう。
ステルス機の不時着跡に到着した軍の救助隊は“ブロークン・アロー”を報告。それは核兵器の紛失を表す緊急事態の用語だった。
ディーキンズの狙いは、仲間と共に核弾頭を強奪し、国防省を脅迫する事にあったのだ。
パラシュートで着地したヘイルは、偶然に知り合った公園監視員のテリーと共に失われた核弾頭を探す。先輩であり親友でもあるディーキンズの目論見を阻止するためにも……といったお話。
90年代の面白いアクション作品が多々ある中、あまり陽が当たっていないながらも、本作もその中に入れていい作品です。
今の時代であれば、ここがズバ抜けて良い!という点もないんだけど、決してつまらない作品ではありません。
ヘイルがディーキンズの計画を地道に、少しずつ潰して行き、最終的に全てをオジャンにさせる展開は好きですね。初めはヘイルの妨害を想定内だとタカを括って鷹揚な態度を取っていたディーキンズが、終盤に近付くにつれ徐々に余裕がなくなってくるのもいい。
「やり取りもしないで、お互いの行動が分かるのはおかしくね?」と、ストーリーに無理を感じる人もいるでしょうが、ここで活きてくるのが冒頭のボクシングのシーン。あそこで2人の関係性を感じ取れる人なら、そんな小っせー難癖は付けないでしょう。
ディーキンズのキャラも秀逸で、これを演じているジョン・トラボルタさんも楽しそうに悪役を演じているように見えます。
そんなディーキンズさん、実はヘイルがスゲー好きだよね(笑)。敵対関係にありながら、敵視はしていないというか。歳上&上官という体ながら、まるで弟として接している関係性もいいですね。
ヘイルに対しては常にニヤニヤして見下していたけど、ヘイルが今回の事件で逞しく、成長してしまった事を見抜けなかったのがディーキンズの敗因です。
そんな2人の最後の勝負に銃や武器は要らない、カタを付けるのはお互いの裸の拳のみ!という熱い作風は、監督であるジョン・ウーさんのイズムですね。男同士の決着はこうでないと!
ヘイルは、公園監視員のテリーという女性と知り合います。
特にハリウッド映画であれば、特異な状況下で知り合ったばかりの異性と行動を共にし、ラストでは既に恋人気分で濃厚なキスをして終わるというパターンがセオリーです。
そんな例に漏れず、この2人も最終的には結ばれるんだろうと予想しますが、本作の場合は“LOVE”ではなく、“LIKE”止まりなのが健全ですよね。映画が終わってから“LOVE”に発展するんだろうけど。
事件も一件落着し、ようやく自己紹介→握手という終わり方も、スゲー爽やか!
唯一の女性キャラであるテリーの扱いが絶妙なんですよね。
逮捕権も持っている(らしい)公園監視員という事で、多少は銃器を扱える程度の普通の女性として、そこまで突出した運動能力もありません。
特に良いのが衣装で、登場時は長袖&長ズボンの制服で、中盤で川を泳いで服がずぶ濡れになりますが、この後でもちゃんと制服を着直すのがいいんですよ。近年の傾向だと、服が濡れたり破けたりすれば、ノーブラ&タンクトップ(orスポブラ?)でラストまで突っ走りそうじゃない?
個人的に、アクションとセクシー要素は同居できないと思っています。両方の要素があっても、どちらかばかりを注視してしまうでしょ(笑)? 場にそぐわないセクシー要素は要らないんですよ。
…と感じるオジサンは俺ッチくらいでしょうか?
ふと思い出しましたが、『OO7 サンダーボール作戦』も密かにブロークン・アロー状態ですよね?
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Blu-ray版は、予告編と吹替がある程度の最低限仕様。
そんなショボ仕様であっても、せめてトップメニューは入れてくれ…。