観た、『麗しのサブリナ』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『麗しのサブリナ』を観ました。

…どーだい、新年一発目に観るに相応しい作品でしょ?

 

ニューヨークの大富豪ララビー家には、仕事一辺倒の兄ライナスと、女好きの弟デイビッドの兄弟がいた。ララビー家の運転手の娘であるサブリナは、幼い頃からデイビッドに恋をしている。

叶わぬ恋と悟る父親は、デイビッドを忘れさせるため、サブリナをパリの料理学校に向かわせる。

2年後、ララビー家に戻って来たサブリナは美しい女性に変貌を遂げていた。

それまでは目の端にも入らなかったサブリナに入れ込むデイビッドだったが、ひょんな事故から動けない身となってしまい、その間、ライナスにサブリナの相手をして欲しいと頼み込む。

デイビッドの代役として接してきたライナスは、サブリナに向ける思いが次第に変化して行くが、それはサブリナも同じで……といったお話。

 

俺ッチが魅力を感じる女性は星の数ほど存在しますが、古今東西、映画の女優に限定してたった一人を決めろと言われれば、オードリー・ヘプバーンさんの名を挙げます。

あくまで個人の基準だし、どこがどうとか言葉では言い表せらんないけど、本作と『ローマの休日』を見れば、何となく共感してもらえるかな?

原題である『SABRINA』から、『麗しのサブリナ』という邦題を付けた当時の配給会社のセンスは絶妙、かつ的確です。

 

序盤、イマイチ垢抜けない小娘だった頃のサブリナには、お堅いライナスはまだしも、女たらしのスケコマシ野郎(←今日び言わねーよ)のデイビッドすら見向きをしません。

そんな2人が、エレガントなレディーに変身して戻って来たサブリナを見た途端に心を奪われるというお話ですが、この時点でお話が破綻しているんですよね。

だって、ヘプバーンさんが地味子を演じたところで、フツーに可愛いんだもん

パリに出立する前のサブリナの魅力に気付けていないララビー兄弟は、どうかしてるんですよ(笑)。

(序盤の)パーティーのシーンを見てみても、サブリナ(=ヘプバーンさん)の足下にすら及んでいる女性客なんていないだろう?

 

ざっくり言えば、本作は、兄弟が1人の女性を取り合う三角関係を描いた作品で、三角関係となると、いずれかが対立関係になってしまうのがセオリーです。

手っ取り早いところでライナスとデイビッドがバチバチ→ギスギスしがちなんでしょうけど、恋愛に関する諍いが起きないのが、意外性があって面白いんです。

“俺も好きだけど、あいつの方がサブリナに相応しい”と、お互いが思っている関係性がいいんですよ。

仕事一筋のガッチガッチなライナスと、女に呆けてロクに仕事もしないデイビッドと聞けば、劇中であっても叩かれるのは後者なのに(笑)、ライナスはそれを敵視するどころか寛容に接し(それなりには咎めますが)、デイビッドもその恩恵(?)を常に感じているんでしょうね。

だからこその、ラストでの粋な計らいには泣きそうになりましたよ……デイビッド、あんた男だぜ!

 

本作はまだモノクロ時代の、54年の作品。

総じて、そのくらいにまで古い作品とは感情表現がベタベタで、直感的に理解しやすいのはいいんですが、本作のサブリナとライナスの心情の変化は(やや)複雑に描いていて実に映画的です。

本作はロマコメにジャンルされると思いますが、そんなロマンスとユーモアのバランスが絶妙なところも好きです。

 

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Blu-ray版は吹替音声があるのみで、映像特典は一切ナシ。

ヘプバーンさんの吹き替えと言ったら、もちろん池田昌子さん一択!

 

ところで、本作にはリメイク版なんて無粋なものがありましたっけねぇ…。それなり以上の女優にしか務まらないってのに、どんだけ無謀な企画なんだと思ったものです。

ただハリソン・フォードさんは、仏頂面がハンフリー・ボガートさんに通じるものがあるという意味で、絶妙なキャスティングだと思いましたが(笑)。