『西部戦線異状なし』を観ました。
“西部”ですよ、 “就職”じゃないですよ?←ダサっ
1917年、第一次大戦下のドイツ。
国のために戦う事を尊いと煽り立てる教師の言葉に感化され、ポールを含める多くの生徒は軍への入隊を決意する。
厳しい訓練を終え、いよいよ出兵の時を迎えるポールたち。しかし前線は想像以上に過酷で、学生の頃の生ぬるい生活とのギャップに呆然とする。
飛び交う爆弾や銃弾、次々と倒れる仲間、空腹との戦い、初めての殺人――戦場で様々な経験をするポールは、この戦争に何を思う……といったお話。
ズバリ、コテコテの反戦映画です。
1930年という時代に、こんな内容の作品を映画として公開できた事が、今に思えばチト信じがたいですよね。
まだWWⅡも始まってない頃に作られた、ドイツを描いたアメリカ作品ですが、当時のドイツの反応にも興味が湧きます。
そんな古い作品なので、映画技術としては至らない点もありますが、戦闘シーンには重みを感じますね。
中でも爆発に関する視覚効果は圧倒的で、見せるためではなく壊すための爆発にしか見えないんですよ。建築物の壊れる様とか、特に顕著です。
さて、内容の方はというと、先に反戦映画と綴りましたが、厭戦映画と呼ぶ方が正確ですかね。
負傷したポールが帰郷した際に母校に立ち寄りますが、本作のテーマとも言える白眉たるシーンです。
教師は相変わらず、国のために戦争に参加するのは栄誉であると説き、生徒たちは簡単に感化される。冒頭でのポールたちのそれと同じようなシーンです。
教師が生徒に一方的に教育を施すという学校という場で、社会経験もなく年端も行かないような、子供にも近しい生徒に先入観を植え付け、あくまで自発的に戦争に参加させようとするんだからタチが悪いですよね。
そんな扇動に乗っかって後悔の念に駆られるポールの、戦場の現実を伝えるような助言も虚しく、挙げ句に卑怯者呼ばわりされるやるせなさと言ったら…!
ポールの父親と友人たちが、戦場で戦ってきたポールの功績を称えるに留まらず、敵地の落とし方について喧々諤々と論争をするシーンは、実に皮肉に満ちたシーンですね。文字通り、机上の空論です。
テレビやラジオ等にもよくいるじゃないですか、その手の話題になると熱くなって、あの国がこの国にどういう手段で攻め入るとか断言しちゃうような、軍事関連に明るいと自称する評論屋(こういう連中の無責任な方言を捨て置く番組側にも、大いなる責任がありますが)。
まぁ、ああいう連中がこのシーンを観たところで、自分らを鏡に映した姿であるとは気付けても、風刺の対象になっているとは気付けないでしょうね…。
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ずいぶん古い=1930年の作品ながら、吹き替え音声が収録されているのはいいですね。
この手の戦争映画って、モノクロってだけで情報量が減るし、容姿も似たようなキャストが多く、しかも軍服&ヘルメットのせいでキャラの区別が付きにくいんですよね。
こういう場合に、声で判別が付けられるという意味で、吹き替え音声の存在は助かります。『史上最大の作戦』あたりもそうですが。
…にしても、↑のBlu-ray版のジャケットは、キレ寸レベルのヒドさですね。
お前がCGソフトを使えるのは分かったけど、余計な物を付け足すんじゃないよと。無粋にも程があるだろ。蝶の対比も変だし(笑)。
これを担当したバカ、世界中の本作のファンから袋叩きにでも遭いたい願望でもあるの?