観た、『真夜中のカーボーイ』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『真夜中のカーボーイ』を観ました。

 

テキサスの田舎町から、ニューヨークにやって来たジョー。

しかし、大都会の空気や人々に馴染めずに困惑するジョーは、肺と脚を患うラッヅォ=ラッツォと知り合う。

ラッツォに騙され、食って掛かるジョーだったが、それを機に2人は共に生活を送るようになる。

仕事も金もない2人がどん底の生活を送る中、ジョーが僅かながらの収入を得るようになったが、ラッツォの病状は日に日に悪化。

ジョーは、ラッツォの夢であったフロリダへの旅に連れて行こうとするが……といったお話。

 

まぁ、日本で例えれば、地方出身者の上京物語ってトコでしょうかね。

都会に夢を求めてやって来たものの、現実はそう甘くはなく……といった系のお話です。

華やかに見える都会にも人間の格差は確実にあり、そのどん底で足掻く人々も存在している……そんなリアルを描いた作品です。

都会に来たがる地方出身者を思い留まらせるような作品と言ってもいいかな(笑)?

 

大都会への、漠然とした憧憬だけでニューヨークに来てしまうジョー。

その行動は無計画どころか、あまりにも無邪気。何しろ、自分のアレ一本で成り上がろうとしちゃうんだから(笑)。まぁ、現代なら、ソレを使ったビジネスも少なくありませんが…。

ガタイばかり良くて頭は弱い、都会に生きる擦れた人間にはなれないタイプですね。それ故、騙されたり言うがままになってしまう事もしばしば。

――ではありながらも、人道を踏み外すような真似は(なるべく)しないのが、ジョーというキャラの魅力。

演じるジョン・ボイトさんの、人が好さそうな純真無垢な眼差しは、まるで少年のようです。

テンガロンハットにフリンジ(=短冊みたいなヒラヒラね)付きのジャケットにウェスタンシャツ&ブーツと、大都会で浮きまくろうが(笑)コテコテのカウボーイファッションを貫いてきたジョーも、そんなスタイルと別れる時が来ますが、その時こそ、(精神面での)少年時代に別れを告げる瞬間でもあるのです。

 

孤独というワードも本作のテーマの一つでしょう。

本作は、都会という人間が多い場所でありながら、孤独が生じてしまう矛盾を描いているとも思えるんです。

ジョーもラッツォも、出会わなければ孤独のままでした。

フラッシュバックで描かれる過去を見る限り、おそらくジョーは地元でも親しい友達はなく、そんな孤独からの脱却こそが地元を飛び出す大きな理由だったように感じますね。

そしてラッツォの方も、孤独な上に色々と障害を抱えているので、職にも就けなかったでしょうし、考え方が卑屈気味な一因も、その辺にあるのかもしれないと想像できます。安易に盗みや騙りに走ってしまうのは生きて行くための手段だけでなく、ダメ出しをしてくれる人が近くにいない=孤独ゆえの行動ではないでしょうか?

孤独を知る者同士、特にラッツォはジョーと出会えた事で、それまでの苦労が報われたのかな? きっと、ひと足先にフロリダに着いている事でしょう…。

 

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映像特典としてドキュメンタリーが3種あるけど、トップメニューや吹き替えはナシ。

そしてプロデューサーの音声解説の字幕もナシ……これって、日本の商品としてどうなんだろう? 

稀に、日本語字幕がない映像特典が収録されてるソフトがあるけど、ならいっそ丸ごとオミットしていいのに。英語が堪能な人は海外版を買えばいいんだしさぁ。