観た、『28日後…』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

この場合の“仕方がない”とは、情報が僅かでも欲しい側と、そんな圧倒的多数を客にすれば儲かると考える側のバランスが両立してしまっているからなんですよね。

そんな、今やニュースでは必需の話題になってしまうのが”仕方ない”コロナ騒動に無理矢理リンクさせようと(笑)、『28日後…』を観ました。

 

昏睡状態だったジムが目を覚ますと、周囲には誰もいなかった。

病院を抜け、ロンドンの街に出ても人一人とも遭遇する事なくさまよい歩くジム。偶然に通りがかった教会を訪ねてみると、そこには死体の山が…。その中の数人が動き出し、襲われそうになったジムはマークとセリーナに救われる。

ジムの昏睡していた間、イギリスでは人間の凶暴性を増すウイルスが発生し感染者が急増、政府は国民を海外へ避難させた。今のロンドンには、逃げ損ねた僅かな人間しか残っていないらしい。

凶暴な感染者をかわしながら避難を続ける中、傷を受けて感染してしまったマークを、セリーナは容赦なく殺してしまう。

残った2人はフランクとハンナ父娘と知り合い、マンチェスターに生き残っている軍隊があるという無線を聞く。4人は一縷の望みを託し、マンチェスターへの旅を始める……といったお話。

 

平たく言ってしまえば、当時流行りのゾンビ映画ですね。

人間の凶暴性を増すウイルスによって、それだけに留まらず、どんだけ血を垂れ流しても息絶える事がないんだからゾンビの定義とは異なるけど、まぁ大同小異ながら同じようなものです(笑)。

 

ジャケ裏の解説に、

 …否応なしに人間の恐ろしい“性”を痛烈に抉る…

とあるんですが、ここにある“性”という言葉。普通なら”さが”と呼ぶでしょうが、正解は”せい”でしょう。性=“せい”と聞くと、男女間の卑猥な話を連想しがちですが、それも正解(笑)。

作劇上、ジム一行と(小隊規模の)軍隊の間に不和を生じさせたいのは分かるけど……もう少し違う理由とか思い付けなかったかなぁと。

「隊長~、男に囲まれてばかりで溜まりすぎて爆発しそうッス…もう死にます!」

「待て待て、女を見っけたらお前にあてがってやるからさ、もちっとガマンできねぇか?」

「本当ッスか、ラッキ~☆」

と、超要約すればこんなところですけど、これが軋轢の発端ってのは、チト寒いです。

非感染者の最後の砦の正体がこんなような、慰安婦待ちの軍隊という時点でクズ=絶対悪確定、つまりジムらが徹底的にブチのめしていい理由にはなるんですがね。

“感染よりも遥かに恐ろしいのは、同胞であるはずの人間の欲求だ”とか、とっくにカビが生えてるテーマでもやりたかったんでしょうかね? 日本には遥か昔に『デビルマン』という良作がありますよ…。

 

引っ掛かるのは↑くらいで、その他に関しては面白い方だと思っています。

ホラー映画らしからぬシーンも多く、平和で爽やかなシーンも少なくありませんが、そんなバランスが個人的には好きです。

マンチェスターまでの道中はロードムービーのようだし、エンディングも安堵感があってい良いと思います。

特に馬の親子のシーンはハラハラ&ドキドキを忘れて、一瞬の平穏を味わえる清涼剤のような美しいシーンです。

 

ナオミ・ハリスさん演じているセリーナは身を護るためとは言え、感染者を遠慮なくブッ殺すようなキャラ。

それが、かつての仲間であっても容赦しないドライなキャラでしたが、ジムやフランク親子との触れ合いの中で心情に変化を生じさせるような、どっちかと言えば主人公のジムより面白味のあるキャラです(笑)。

…ただね~、ロック系ミュージシャンを彷彿とさせるあの髪型はどうにかならなかったかなぁ。兵藤ゆきさんがチラついてしまって…。

 

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…さて、“28日後”“Blu-ray”“画質”というワードで当ブログへお越しの方々、遅ればせながら、いらっしゃいませ。

何の事かっつーと、Blu-rayで本作を鑑賞し始めると、まず画質の粗さが気になります。まるでDVD並み。

「せっかくのBlu-rayなのに画質がクソすぎる!」と言ってしまう人も多いようですが、それだけで終わっている意見であれば、おそらく最後まで見ていないか、画質の見分けが付いてないと思われるので無視して構いません。

 

確かにDVD並みの画質にはガッカリ(どころか愕然すら)しますが、これは劇場で見ても同じでしょう。ただキチンと最後まで観れば、これが演出である事が分かります(意図は意味不明ですが)。

メイキングでも言及していますが、時代性を鑑みてデジタルビデオで撮影したようです。02年の作品なので、当時に普及していたのは圧倒的にDVD=SD画質だったでしょうしね。

…なので、このSD画質を模した映像に関してはBlu-rayソフトやメーカーに罪はなく、本来なら責められるべきは監督のセンスなのです。

だからって、クレームの先を越してジャケットの裏とかに、画質が粗く見える旨をあらかじめ注意書きしておいても、ちょっとしたネタバレにも繋がってしまうだろうし、メーカー的には厄介な作品だったでしょうね(笑)。

 

なのでBlu-ray版は、高解像度技術を以て低解像度映像を忠実に再現するという、ある意味ではスゲー贅沢なソフトなのです。別名、技術の無駄遣い(笑)。

この辺、実際に劇場で観た人の検証も聞いてみたいものです。