『巴里の女性』を観ました。
両親に反対されながらも結婚を約束するジャンとマリーは、パリへ駆け落ちしようとする。
しかし、ジャンは父が急死したため駅には行けず、そんな事情を知らないマリーは、独りパリに向かう。
1年後のパリ。マリーは有閑紳士のピエールの愛人となり、裕福な暮らしを送っていた。
そんな中マリーは、同じくパリに来ていたジャンと再会する。
あの頃のまま自分を愛しているジャンと、豊かな暮らしを与えてくれるピエールとの狭間で揺れるマリーは……といったお話。
チャールズ・チャップリンさんと言えば喜劇王と呼ばれていますが、今作では監督・脚本・製作etcと多々兼任していますが、俳優業だけは担当せず、完全な裏方役に徹しています。
喜劇要素も封印し、いつもとは違った、なおかつ入れ込んだ作品であるという証にも思えます。
本作は1923年の作品です。
だけあって、ストーリーやテーマに関してはとっくに古いというか、現代の視点で見ればベッタベタというか(笑)、陳腐でありふれたものにも思えます。
けど、逆を言えば、映画としての見せ方が複雑化していない分、人間のプリミティブな感受性に、直感的に伝わると思うんです。1世紀も前の作品というハンデなんか関係なくね。
貧乏な絵描きでも自分を一途に愛するジャンと、愛人の一人として好意を寄せてくれる裕福なピエール。
どちらも一長一短ですから、ちょっとした究極の選択ですね。
まぁ、現代の人であれば、金持ちの後者=ピエールを選ぶ人は少なくないんでしょう。ままごとの延長で結婚→離婚なんてのがザラになってしまった世の中ではね。
けど、フィクションの劇として尊いのは、もちろん前者のジャン。
そのマリーをド真剣に愛するがあまり悲劇を引き起こしてしまいますが、純粋すぎるジャンが生きていくには、この(作品の中の)世界は薄汚れすぎました。
ジャンにはマリーの身にこびり付いてしまった世間の垢なんか見えず、それを象徴するのがあの肖像画なんですよね。
それでもなお、豊かな生活を捨てきれないマリーにはジャンの気持ちは届かず、空しいしっぺ返しを食らう事になるのです。
本作の主人公でもあるマリーを演じているのはエドナ・パーヴィアンスさん。チャップリンさんの公私を問わなかったパートナーとして有名ですよね。
チャップリンさんも、本作はこの人をスターにするための作品だと、あけすけに言ってたらしいし。
…ただね~、エドナさんは他のチャップリンさんの作品にも多々出演していますが……ぶっちゃけ、キレイですか?
女優としての評価は低くはなかったようですが、映画スターとしては人目を引くようなルックスには思えないんですよ。
20年代あたりはポチャ系が受けていたのか、もしくはチャップリンさんの趣味を見せ付けられているのか…(笑)。
配信版↓と、
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Blu-ray版↓。
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作品を“見たい”だけなら前者、腰を据えて“観たい”なら後者という選び方ですよね。個人的には、圧勝的に後者ですが。
Blu-ray版はしっかりした映像特典がありますが、そんなのは要らない、もしくは映像特典もないようなソフトを買うなら配信版で済ますのもアリですかね。