『トロン』を観ました。
…え? 今は『トロン:オリジナル』が正しい?
うるせぇバーロー、↑の通り、俺ッチが買ったのは『トロン』なんだから『トロン』でいいんだぜ!
こういう配慮、そんなに必要かねぇ……ガンダムはやらなくていいからな?
かつてエンコム社のエリートだったフリンは今やゲームセンターのオーナーを務めつつ、今日もエンコム社のコンピューターへの侵入を試みていた。
それを察知したディリンジャーは、エンコム社のコンピューターを管理するマスター・コントロール・プログラム=MCPに従いアクセス-7の閉鎖を決定。フリンの同僚でもあったアランの新たな警備プログラム、トロンの導入も先送りになってしまう。
アランは同僚のローラと共に、侵入がバレている事をフリンに警告する。フリンは自分のゲームがディリンジャーに盗まれたという証拠を掴もうとしていたのだ。
アランたちの協力により、エンコム社のコンピューターから直接の侵入を試みるフリン。その一部始終をMPCに監視されていたフリンは、完成したばかりの物質転送レーザーでコンピューター内に取り込まれてしまい……といったお話。
要約すると、コンピューター空間に取り込まれたフリンが現実世界に戻ろうとする話です。
アニメ化された時だったかな、「『電光超人グリッドマン』はコンピューター内で起きている事を擬人化しているのが斬新な作品なんだ!」と、特撮ファンが我先にと言いたがる時期がありました。
コンピューターのプログラムがキャラクターとして人格が与えられる本作が、以前にも存在していた事を知らないんだから、視野の狭さをひけらかしているようでみっともないなと思ったものです。
そんな連中よりも前に、本作の存在を思い出せずに同じような事を言っていた俺ッチも似たようなものですがね……恥ずっ。
それもそのはず、公開から約30年後に『トロン:レガシー』が公開されるまでは大した話題にもならない、ちょっとしたカルト作品扱いされていた(気がする)ので、多くの人々から忘れられていても仕方ないんですよ。
当時のアカデミー賞も、CGは不正行為(!)だという理由でノミネートから除外されていたらしいしね。
本作と言えばCGを導入、または多めに使った作品として有名です。
そんなCG黎明期の映像だけあって、現在の視点で見ればチャチにすら見えてしまいます。
が、昨今の進化しまくった、虚実の境が付かないほどに精密&緻密なCGに見慣れた現代の視点で見ると、一周回ってカッコ良いんですよ。いかにも“コンピューター・グラフィック”という言い回しがよく似合う映像というか。
直線や平面(もしくは1方向曲面)ばかりで、かつ少ない色で構成される世界が一種の様式美すら感じさせるんですよ。
それもそのはず、これは知らなかったんだけど、シド・ミードさんが電脳空間のコンセプトデザインを担当してたとは! 言われてみれば、ライトサイクルのデザインとか、なるほど確かに!です。
コンピューター内の人間が着けているスーツやヘルメットに描かれた基板のパターンのような、ところどころに散見される幾何模様の美しさも必見です。
とは言え、実際のCGによる映像は20分もないらしいけど(笑)、そんなネタ晴らしで興が覚めるような映像ではありません。後半は絵=マットアートだらけになっちゃうのは興醒めしてもいいけど(笑)。
当時のCGで構築された、もしくはCGで描け得る世界に合わせてセットを作っている点もですが、スーツの模様等の、暗い世界にボワ~ッと光る表現を1枚づつ着色しているってんだから、もはやアニメ並みの手の込みよう!
82年という時代を鑑みれば、実に贅沢な映画なんですよね。
カラフルに光る部分を描き足したモノクロ映像のようで、実にCOOL!です。
現実世界にいるアランやローラの助けを求めるためと理由付けて、電脳世界と現実世界を交互に見せがちですが、それをやらないのが意欲的ですね。
電脳世界での話が進む中、現実世界で姿を消したフリンをアランやローラが探したり、電脳世界から現実世界へアクセスを試みたりするシーン等を挟みがちですが、現実世界は序盤とラストにしか見せないんだから潔い。
…と思ったんですが、あちらの世界だけを映してるのは映像的には意外と単調で、意外と眠くなっちゃうんだよね(笑)。新鮮に見えていたビジュアルも、そればかりでは見飽きちゃうんですよ。
少々お話が分かりづらい感はあるかな?
序盤の、現実世界でやってる事が凝っているせいか、イマイチ伝わりにくい感じがしましたね。
あと、これはメイキングでも言ってましたが、フリンとトロンの体格が似すぎていて見分けが付きにくいんですよ(笑)。スーツに描かれたパターンの違いで見分ければいい事に気付いた時には、お話の半分が過ぎていました…。
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Blu-ray版は映像特典多めで見応えがありますよ。
ところで……本作を観たら『SF新世紀 レンズマン』を観たくなったオジサン、決して少なくないですよね! Blu-rayどころか、DVDにもなっていなかったとは…。
海外版に期待したいけど、あれこそ歴史に埋もれた発掘困難な作品なんだろうな…。
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