ヤベー、もう『トロン:アレス』が公開されちまったぜ。
さっさとおさらいを済ませなければ!って事で、『トロン:レガシー』を観ました。
エンコム社社長のケヴィンが、息子サムを残し失踪してから20年。
エンコム社のCEOに就きながら気ままに暮らすサムの下に、ケヴィンの同僚だったアランが訪ねてくる。ケヴィンに持たされていたポケベルからメッセージが入り、発信源はかつてケヴィンが経営していたゲームセンターからだというのだ。
サムはゲームセンターで隠し部屋を発見。そこにあるコンピューターを弄っているうちに物質転換装置が起動し、サムはコンピューター内の世界=グリッドに放り込まれる。
グリッドでディスクバトルの選手に仕立て上げられながらも最後まで勝ち進んだサムは、この世界を支配する男に出会う。それはケヴィンと同じ顔を持つクルーだった。
クルーの命令により処刑されそうになったサムは、会場に乱入したクオラに救われる。クオラと共に逃げ着いた先で、サムは本物のケヴィンに再会する。
グリッドからの脱出を図るサムとケヴィンは、クルーの執拗な追跡をかわしながら出口を目指し……といったお話。
要約すると、コンピューター内に取り込まれたサムとケヴィンが現実世界に戻ろうとする話です。
前作から28年ぶりの続編。
前作『トロン(:オリジナル)』と言えばCGの始祖的な作品で、今やCGは映像制作に不可欠な技術と言っても過言ではありませんから、再注目された上で続編の話が浮上するのは自然な話かもしれません。
前作は1982年の作品、そこから約30年近くのスパンを空けての続編という事で、隔世の感しかないビジュアルが見どころです。
今やデジタル技術は日進月歩どころか、“秒進分歩”と言ってもいいくらいのスピードで進化を遂げています。
そんな現実を反映するように、本作のコンピューター世界=グリッドも人口(=プログラム)が圧倒的に増え、ずいぶん広大な世界に発展しました。
ただ雨が降ったり、現実世界の自然現象までも取り入れるのはチト違う気がします。あの無機的で硬質な世界観が好きだったのでね。
ライトサイクルの別次元感もなくなってしまったのは残念だけど、世の中の流れ的にこれは仕方ないかな…。
ビジュアルと言えば、基本はモノクロ(今作はやや緑がかっている)で発光している部分だけを極彩色で描くという、前作のコンピューター世界のイメージを踏襲しているのはいいですね。
前作は暗い場所でボワ~ッと光る感じでしたが、今作はくっきり光るのが鮮やかで、それぞれにCOOL感があるのが好きです。
前作の主人公ケヴィンが再登場するのは本作のトピックです。
ケヴィンだけでなく、同じ容姿を持つクルーまで登場させるのは上手いですね。前作の設定を巧みに活用しています。
ただ、それがドラマに影響せず、最大の敵が自分の父と同じ顔をしている事に大した意味がないんですよね。敵ではあるけど父=ケヴィンが創造した存在として、どうにか肯定できないものかとサムが逡巡したりしても良かったんじゃないかな。
ケヴィンの同僚アランも登場し、ジェフ・ブリッジスさんと共にブルース・ボックスライトナーさんも登場しているのも嬉しい。そもそもアランはトロンでもあるのに、それと分かるような活躍もなく、ちょっとしたタイトル詐欺にもなってるんですが(笑)。中途半端な退場だったし。
そして、ディリンジャーの息子エドワードが登場するのはいいんだけど、まさかエンコム社の上層部として顔を連ねているのは驚きです。
スキャンダルで退任した人の息子を入社させるだけでなく、そこまで出世させちゃうんだから、実力さえ伴っていれば何の偏見も持たないって方針なのかな? エンコム社って世間の白い眼なんか気にしない会社なんだな(笑)。
ケヴィン(もしくはサム)の代わりを務めていたマッキーが、先代のディリンジャーは会社を大きくした功労者呼ばわりしても、その場にいる誰もが賛同しているように見えるのも納得しづらい(マッキーはディリンジャー派だったんだろうと解釈)。
そして最も納得できないのは、いかにも悪役っぽい言動をさせておきながら、エドワードの出番はあれだけという点ですかね…。
近年、10年単位のスパンを空けた続編が作られる事が増えました。
多くはオリジナル版のキャラクターが数十年も歳を取って父親になり、その子供が活躍するというパターンです。別名、息子商法ね。
店の跡取りのごとく子供が親と似通った状況に陥り、それを親が見守ったり手を貸したりするんだから、それ授業参観じゃない?と(笑)。
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Blu-ray版は映像特典多め。
そっちはいいんだけど、単色っぽい部分でノイズが見えやすいのがネックです。大きすぎるテレビでは見ない方が良いかも。
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