チト遅ればせながら、『乃木坂シネマズ』を観終えました。
ご存知、乃木坂46のメンバー10人と10人の監督がタッグを組み、一つの話を描くというオムニバス作品集です。
俺ッチは乃木坂46は贔屓にしてますから、お話の内容なんか度外視に、それだけで見てしまいますよ。
安っぽくエサに釣られてるように思えるでしょうが(笑)、そんな人々も決して少なくないと思います。と自己弁護。
だからこそ、そんな有志である諸氏に問いたい。
…コレ、面白いですか?
ベテランの域に達している50代以上の映画監督や脚本家あたりが、若手(監督)をこき下ろすのは、ままある事です(そんな意見の半分、もしくは何割かは、自分よりも若かったり、自分の時より環境が恵まれている事に対する嫉妬の感情をも含んでいるでしょうが)。
歌手のミュージックビデオやCMを撮ってきた監督あたりに対しては、特にアタリが強かったりもしますしね。
――でも、本作を観ると、そんな辛辣な批評の対象になり得る作品(群)になっている気がします。
便宜的であってもタイトルに“シネマ”、つまり映画という言葉を使うのなら、もっと娯楽性がなければいけないと思うんですよ。
娯楽性に富んだ作品とは万人に受けるような作風であると、俺ッチは考えます。
そして万人が分かるために必要なものとは、“普遍性”です。
本作の各エピソードにおける世界観(や演出)は、確実に奇抜、もしくは分かりにくいです。
それを“独自の世界観”とヨイショするのは結構だけど、言い換えれば単なる“自己満足”です。
メッセージやテーマを多分に含んでいても、婉曲的な言い回しで描いてしまえば、伝わる人は激減、つまり限られた人にしか理解されないような、カルト映画の一丁あがりですよ。
今や日本国民の周知率もだいぶ高まったであろう乃木坂46のメンバーを起用してカルト映画を作れるなんて、何という贅沢(笑)!
久保ちゃんの出てたやつだったかな、『あぶない刑事』や『太陽にほえろ!』についてタラタラ喋るやつ。
ああいう、脚本家の極私的であろう独り言をセリフにしちゃうの、とっくに嫌いなんですよ。
これの前身に近いであろうクェンティン・タランティーノさんの出世作『レザボア・ドッグス』は、作品には全く関係ないオタトークを映画の中のセリフにしてしまう作風が新鮮で注目されたものですが、もう30年近くも前の話ですからねぇ…。
俺ッチが観たのは地上波放送版、つまりネット配信版のそれに比べるとカットされまくった短縮版なので、カットされていないネット版を観ればもう少しモヤモヤも晴れるんでしょうが、これ以上の理解はしなくてもいいかな…(笑)。
まぁ、それぞれ主役を張った乃木坂メンバーの皆さんはご苦労様でしたね。
3年後くらいに、この作品に思い入れがあると言える人が何人いる事やら。
個人的にですが、老若男女で楽しめるor理解できるだろうなと感じたのは、松村沙友理さんの『超魔空騎士アルカディアス』かな?
ビジュアルやストーリー的にも、最も普遍性が高いと思います。
かつて実写とアニメキャラが共演する『ロジャー・ラビット』という映画がありましたが、アレに近いものを、たかだかネットorテレビの一プログラムとして作れる時代になったんだなぁと、しみじみしますね…。