観た、『デッドマン』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『デッドマン』を観ました。

 

金属工場に仕事を求め、遠路はるばるマシーンという町にやって来たウィリアム・ブレイクだったが、手違いから仕事に就く事はできなかった。

途方に暮れるブレイクが、街で知り合った女性セルとベッドを共にしている最中、セルと寄りを戻そうとチャーリーがやって来る。その気がない事を知ったチャーリーはセルを、ブレイクはチャーリーを射殺してしまい、自らも弾を受けてしまう。

息子であるチャーリーが殺された事を知った金属会社の社長は、ブレイクに殺し屋を差し向ける。

街から逃げるブレイクは意識を失っていたところを先住民の“ノーボディ”に救われる。“ノーボディ”は、ブレイクを詩人のウィリアム・ブレイク本人であると勘違いし、奇妙な縁で繋がった2人の旅が始まる……といったお話。

 

とまぁ、あらすじは↑の通りですが、それ以上のストーリーは、あってなきが如しです。

主人公の、逆境からの成長譚と言っても嘘ではないけど、そんな薄い感じではないというか、どう説明すればいいか分かりません(笑)。

一般的な映画を“小説”と例えるなら、本作の場合は“詩”ですかね。読み取るのではなく、感じ取るような。

モノクロの映像や独特な世界観は、静かな夜にこそ観るのに相応しいと思います。

 

“ノーボディ”と出会って別れた後、ブレイクは当てもない旅を続けます。

延々と森を彷徨するブレイクの姿を見ているうちに、自分の心もこの映像の中に入り込んでしまう。

個人的に、本作は没入の度を越してしまう、いわゆるトリップムービーと呼んでもいいと感じます。

ちゃんとした目的地もなく歩いているだけに見えますが、ブレイクは着実に“ある場所”に向かっています。タイトル通りにね。

観念的だった死という場所が徐々に現実化してくるという、虚実の境が移ろいで行く感覚がトリップしているように思えるのかもしれません。

 

 

 

本作の好きな点は音楽で、本作のムードを高める大きな要素だと思います。

ニール・ヤングさんという人はせいぜい名前くらいしか知りませんが、何でも作品を観ながら即興演奏したものをサウンドトラックとしたようです。

そのためか、サントラとして作ってある曲が、映画の中の場面転換に合わせてブツ切りされる事はない……はずです。

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一貫して↑のような音楽が漂います。疎い人には、どれも同じに聞こえそうですが(笑)。

当時、サントラも買っちゃったもんね。

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サントラは今や廃盤なので、本作=映画は、音楽を聴くための手段と考えてDVDなりBlu-rayを買うのがいいかもしれません。

 

ブレイクを演じるのはジョニー・デップさん。

この頃はインディペンデント系の作品に好んで出演し、良いルックスの割に変人を演じていたものですよね。

この人のファンは、あの海賊を演じる前と後の2種類しかいないと思うんですよ。『シザーハンズ』の時から継続的に好きって人は意外と少ないんじゃない?

そんな大ブレイクの前の作品群には良作が多いですが、俺ッチとしては本作は、デップさんの出演作の中で一番好きな作品です。

 

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まぁまぁ安い方ですが、Blu-rayソフトとしてはせいぜい画質が良好なくらいの、必要最低限のスペックです。

映像特典も一切ないし、吹き替え音声もない(後者に関しては、吹き替え=日本語が不粋にすら感じます)。トップメニュー画面があるだけでもマシなくらいかな?