『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を観ました。
病院のベッドで今わの際にあるデイジーは、ベンジャミンとの思い出を振り返っていた。
赤ん坊として生まれたはずのベンジャミンは、まるで老人のような姿をしていたが、時の経過とともに若返ってゆく。
紆余曲折を経て愛し合うようになったベンジャミンとデイジー。歳を取るごとに若返る男と、歳を取るごとに老けていく女。二人の人生の行き着く先は……といった内容。
周知の通り、人間は赤子から始まり老人として死んでいきます。そして老人になるほど身体機能は衰えていきます。体が不自由になったり、物覚えが悪くなったりとかね。
まぁ、本作を観てウロコを落とすような事でもないけど、ある意味、人生の半分を過ぎれば幼児退行が始まっていると言ってもおかしくないわけです。
そういう意味では、死に際から始まったベンジャミンも、普通の人間と同じような生き方をしているようなものですよね。
死に損ないの老人からスタートし、歳を取るごとに若返っていく男の物語と聞けば、どんなラストを迎えるかは容易に想像できますが、そこに行き着くまでの過程を見守る作品なのです。
映像特典はまだ見ていませんが、ど~せ全ての役をブラッド・ピットさんが演じているんでしょうね、特殊メイクやCGを駆使しながらも。
けど、そんなムダの極みと思われるような事に全力の労力や技術、お金を投じるからこそ最強の説得力が生まれる。映画というフィクションだと分かっていても、あまりにウソ臭ければ興醒めしてしまいますからね。
何だかんだ言っても、アメリカ映画が世界最高のエンターテインメントになり得るのはそういう点、つまりお金と手間の掛け方なんじゃないかと思います。
全ての役をピットさんが演じているとすれば、これはベンジャミン・バトンというキャラのお話という体を取りながら、実はブラッド・ピット史とも呼べる作品かもしれません。
デイジーとの蜜月の頃を折り返し時代として、それより以前の、ジイさんの頃を演じていたピットさんは実際にこういう老け方をするのだろうかと、シミュレーション的な、未来予想をするかのような楽しみ方もできますね。
20~30年後に本作を見返した時、映画の中のピットさんが実物と変わらなければ、実に奥深い考証の下で作られた作品なんだなと感心する事でしょう。長生きしてでも確認したい!
これと逆に、今日まで長きに渡ってピットさんを見てきた人たちにとっては、現役時代以降のルックスに期待をしながら見てしまう事でしょう。本作は中盤以降が見どころ!とか言っちゃう人も多そうです。
どんどん若返っていくピットさんを見ながら、ブレイクのきっかけとなった『リバー・ランズ・スルー・イット』の頃の、ロバート・レッドフォードさんの再来とか言われていた時代を思い出すでしょう。懐かし~!
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何も起こらないけど(笑)、好きな作品です。ヒゲのないピットさんはつくづくカッコいいんだよ。
さらに遡って、コアな人はおそらく最古の主演作品『リック』の頃の姿まで見れる?と過剰な期待をしちゃうんだろうなぁ。
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コレね。
ベタな難病モノだけど、地味に良作なんですよ。
初めて陽の下に素顔を晒すシーンとか、どんなにイケメンを自称する男が見てもコレには勝てないでしょと思うような美しさがあったよなぁ。
本作の尺は167分。
2時間半超えとか長すぎだよ~と思いつつ観始めましたが、一種の伝記映画だから仕方ない(かも)。途中で休憩は挟みましたが…。
多くの人間の折り返し地点であろう40代の人には、色々と考えさせられる内容です。
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不老不死だの若返りだのは、この手のフィクションではありがちなシチュエーションですが、それらを自分のものにしたところで、それ相応の悩みや苦労はなくならない事を思い知らせてくれます。
ありのままの自分を受け入れる事が一番尊楽な生き方なんだろうけどね。
☆ 追記(24/06/21) ☆
もう5年も前に綴った当記事が、今になってドカンとアクセス数がハネて驚いています。
大して良い事も言えてないし、もしや問題発言でもしてたのかなと念入りに読み返したけど、いつもながらのしょーもない雑文です(笑)。
何かを目当てに辿り着いた方々には、ムダな時間を過ごさせちゃったかな…。