『ダークシティ』を観ました。
ちなみに、これを観たのは雨が降っている夜。
雨が降っている→雨音が聞こえる状況なら、夜なら『ブレードランナー』、昼なら『セブン』等々、現実の気候や天候に合わせて鑑賞するタイトルを選べるのは、家庭用に向けた映像ソフトならではの特権ですよね。
目を覚ましたマードックは記憶を失っている事に気付く。周囲を見回してみると、足元には女の死体が…。
突如として鳴った電話から、自分が何者かに追われていると知ったマードックは、街中に逃げ込む。
徐々に記憶を取り戻す中、警察に追われるだけでなく、謎の男達にも狙われている事を知る。
そして深夜0時になると、マードック以外の全ての住民が時間が止まったかのように眠りについてしまう。この街に隠された秘密とは…?といった内容。
これだけのあらすじであれば、スリラーとかミステリーを想像しがちですが、まぁそんな要素もあるけど、ジャンルの根幹としてはSFです。タイトルに惑わされもするんですが(笑)。
序盤のナレーションから、人外たる存在の登場を示唆しているから、現実的なお話ではなさそうな事は分かるんですが、いわゆるネタバレみたいな真似はしたくないので多くは語りません。
とりあえず観終えた感想としては、『アンブレイカブル』と『メガゾーン23』を思い出しました。
バスタブに浸かって眠っていたマードックが目を覚ますと、記憶を失くしている事に気付く。まず自分の顔を鏡で見てみると、額に小さな傷があった。
そこから服を着て、周囲を見回すと、金魚や注射器のようなものが落ちている。さらに辺りを調べてみると女の惨殺死体が転がっている。
電話が鳴り、向こうの男が真に迫る口調で自分の危機を報せ、そのタイミングで追ってくる男達から逃げる……という序盤のシークエンス。
このあたり、何だか80年代の、特にパソコンのアドベンチャーゲーム(←懐かしい響き!)にありそうな展開じゃないですか? コマンド→見る→鏡→“ひたいに小さなキズができている”みたいな(笑)。
自分という一個人レベルの災難が、徐々に大きな事件に関わってくるという展開は、あのあたりのゲームをかじっていた人には、一種のノスタルジーすら感じさせてくれるかもしれませんよ。
本作の世界観を決定づけているのが、この街の風景。
夜の、レトロな街並みでありながら、あくまで時代は現代(風)という舞台設定は、本作の監督であるアレックス・プロヤスさんが前にも手掛けた『クロウ/飛翔伝説』に通じるものがありますが、あちらとはまた違った趣。
本作に秘められた謎の一つとして、街の“書き換え”がありますが、この描写のセンスが絶妙です。
本作のヒロインを演じるのはジェニファー・コネリーさん。40代以上であれば、その名を聞くだけで心浮き立つものがあるんじゃないかな?
そんなジェニファーさんがグッと大人になって登場、美少女と呼ばれていた頃の面影を残しつつ、綺麗に歳を取りました。ここもまた、オジサン的な見どころの一つです。
ところで、本作の映像特典を見て知りましたが、主役がルーファス・シーウェルさんに決まる前に、意外な人達の名が挙がっていたそうです。
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カリブの海賊を演じた人とか、不可能な任務を遂行するスパイを演じた人とかを起用していれば、かなり大掛かりな作品になっていたかもしれませんね。
本作を観終えてみれば、そうならなくて良かったと、ただただ安堵するのみですが。