『機動戦士ガンダム MS IGLOO ―1年戦争秘録―』を観ました。
しかしまぁ、監督を務める今西隆志さんはジオンが好きですね(笑)。
同じく監督を務めた『機動戦士ガンダム 0083』も、タイトルに“ガンダム”を冠しながら、深読みせずとも実はジオンが主役だったしね。
まぁ、ジオンに傾倒している(特にザクに心酔している)人は少なくないし、そんな人達に向けたファンサービスの作品とも呼べるでしょう。両作ともね。
本作のトピックは、全編3D-CGで描かれている点。
特にアニメ・漫画作品を実写映画化すると、過敏に拒否反応を示す連中も少なくないですが、個人的には3D-CGの方がよっぽど嫌いです。
質感が本物っぽいかどうかはさておき、常に動きがあるのが不自然なんですよね。
本作で例えるならキャディラック特務大尉の、ちょっと踵を返しただけで前髪が延々となびいている点とか。この髪はいつになったら止まるんだろうと、ムダな所ばかりに気が行ってしまうんですよ(笑)。
滑らかに動かせる技術を、どうしてこうも己顕示的に誇示したがるんだろう。テレビゲームの、挿話的なムービーでのそれとかも顕著ですが。
周知の通り、世の中にある工業製品の多くは、何回もの試作を重ねてから出回っているものです。
けど、そうやって陽の目を浴びるものもあれば、その逆もまたありき。本作は、そんな試作で終わってしまった不遇な兵器群と、それに携わる者達を描いた作品です。
“ガンダム”の名を冠する作品群とは打って変わり、ヒロイックな要素やカタルシスは皆無に等しく、鑑賞後は不毛で空虚な気持ちになる事でしょう。
なにしろ本作に登場する試作機は、乗れば(ほぼ)確実に壊れますから(笑)。
けど、よくよく考えれば、そんな本作の作風は多くのガンダム作品群に比べて異端、かつ現実味があります。
多くのガンダム作品は、主人公が偶然を機にガンダムに乗って戦う羽目になります。
ガンダムと言えば同意語的に試作機だし、改善の余地があったり欠陥を抱えている可能性も少なくないはず。素人がそんなのに乗っても、最終回まで生き残れるわけないだろ!というアンチテーゼとも受け取れるんですよね。
しかしまぁ、いわゆる戦争映画が好きな連中が、ガンダムを使ってそれを真似てみよう!という臭いがプンプンしますよね。出渕裕さんとか、その最右翼なんだろうな(笑)。
“ユルゲン”“デュバル”“プロホノウ”“ジャン・リュック”とか、洋画を嗜んでいる人であればトホホなネーミングも多いし(もう少し減らせばパクりがバレにくくなるのに…)。
軍用品の考証も細かく設定しているようですが、宇宙世紀には、西暦の20世紀あたりの物を対象にした懐古主義でも流行っているんでしょうか? 軍服とか、ほとんどWWⅡのプチアレンジだし。
話は逸れるけど、かつて欅坂46の制服がナチスっぽいとか声高に叫ぶ浅薄な連中がいましたが、だったらこの手のSFアニメor漫画を調べ上げろよ。早い段階で喉が枯れると思うけど(笑)。