ここんとこ観ている『ロミオの青い空』熱が高まっているせいか、原作である『黒い兄弟』を久々に読みました。
ネット(の通販)もなく、本の流通に関しては絶望的だった頃である放映当時、神田にまで行って買ったんだよね…。
休日を使っての、殊に下巻は1日でイッキ読み完遂。
所詮は児童文学=大きな文字で平仮名ばかりなんだろ?とナメて掛かる人もいるでしょうが、そんな事はなく(ルビは多いけど)、一般的な小説と同等でしたよ。
きっかけは『ロミオの青い空』=アニメ版って事で、否応なしにアニメ版と原作との相違を気にしてしまいます。
初め、主人公の名前がジョルジョってとこから、ややイヤになりましたが(笑)。
海外の、しかも発表されたのが1941年(第二次世界大戦の真っ只中)というスゲー古い作品なので、半世紀後にアニメ化するのはかなりのアレンジが必要ですが、その恩恵がなければ、『ロミオ~』はああまで面白くならなかったと思います。
上巻はそうでもないんだけど、下巻はもはや別物と呼べるほどで、アニメ版を知っている人にとっては、衝撃的にすら感じる展開が待ち受けています。
アニメ版は視聴対象が子供ですから、それなりにドラマティックである事も要求されるかもしれないけど、原作はドキュメントっぽい様相を呈しています。
1830年頃に、実際に世の中で起こっていたとされる出来事をベースにした物語という事で、説得力が生じているからなのかもしれませんね。
個人的に、本作=原作に限っては、卑怯な大人を描いた作品であると言い切れます。
無知かつ非力である子供をダシに使うんだから、これは大人としては卑怯極まりないと思うんです。
アニメ版でも、ほお傷の男=死神ルイニは悪の権化として描かれていましたが、子供を売るのはもちろん悪い事です。
けど、買う人がいるから売るわけで、買う方もそれ以上の悪人です。
ロッシ親方はまぁまぁ人が良かったおかげで、あまりそうは思われにくいんだけど、実はジョルジョを初めとする煙突掃除夫として買った親方達の全てが悪人です。
下手をすれば、ほお傷の男よりも罪が重いかもしれません。
読み進めていくと、ほお傷の男が提示した契約書には、雇われた少年達は普通の人並みに扱われる、つまり衣食住に関しての保証が約束されていたわけです。
けど、ジョルジョを初めとする煙突掃除の少年達は、親方からそんな風に扱われた様子はなく、それどころか酷い仕打ちを受けてきました。
ほお傷の男は本来なら親方連中に対し、少年たちの扱いに関して契約内容を守るよう指導せねばならない立場なんだろうけど、そんな現実を知りつつも無視していたという点で、いわば監督不行き届きとして、責任を被らされてしまったんでしょうね。
ほお傷の男は裁判に掛けられるであろう事が示唆されますが、親方連中にも何かしらの落とし前は付けさせないと、目撃者とも言える読者はスッキリしません(笑)。
余談ですが、劇中に同じ名前のキャラが出てくる作品というのは、意外と稀有です。
現実的に考えれば、自分と同じ名前の人間は存在するものですから、おかしな話ではないんだけど、アウグストとかエンベリーノとか、ちょいちょい出てくるんですよね。後者に至っては3人くらいいたかも…(笑)。
…って事で、宣伝。
俺ッチが買った、アニメ版の表紙のやつは見当たらないけど…。
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アニメ版を観て、辛いシーンよりも、それ以上に温かみのあるシーンのおかげで心が洗われると感じている人には、正直あんまオススメしにくいんですよね。
比率的に、
アニメ版:辛い<ほっこり
だとすると、
原作:辛い>>>>>ほっこり
というくらいなので、それなりに覚悟を決めて読んで下さい。あとは自己責任です(笑)。