観た、『勝手にしやがれ』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『勝手にしやがれ』を観ました。

 

ミシェルは金の取り立てのためにパリへ向かう道中で、警官を射殺してしまう。

パリに着いたミシェルは、かつて付き合いのあったアメリカ娘のパトリシアと再会し、とりとめもない愛を語って時を過ごす。

そんなミシェルに徐々に警察の包囲が迫り、パトリシアもミシェルの犯行を知ってしまい……といったお話。

 

本作を語る上で……というか、語っているのを読めば、“ヌーヴェル・ヴァーグ”という言葉が確実に現れます。

何それ?と聞かれたところでハッキリとは答えられないけど、フランス映画において、要はそれまでのコテコテの劇から脱却した、さりげない言葉で話すようなアドリブ劇のようなもの? 

どっかからのコピペで知ったかぶるのもダサいから、詳しく知りたい人はセルフサービスで。

 

「もしあんたが海が嫌いで山が嫌いなら そして街が嫌いなら 勝手にしやがれ」

ただでさえイミフなセリフなのに、カメラ目線でそんな事を言われても、こちらは「?」となるわけですが、冒頭の、つかみとしては上々です。

 

その後、ストーリーを追いかけると、どうやら主人公のミシェルは借金の取り立てを稼業とするチンピラである事が分かってきます。

借金の取り立てを軸にストーリーが展開するのかと思ったら、そうでもなく。

劇の基本である起承転結はないに等しく、ミシェルとパトリシアというアメリカ女性に密着した、いわばセミドキュメンタリー作品というか。

二人の会話に脈絡がないあたりが劇っぽくないため、この辺で鑑賞を脱落するしちゃう人が多そうな気もします。

 

劇中でタバコを吸うのはいいんだけど、ひっきりなしに、かつ二人とも喫煙者だから、まぁ画面の煙い事よ。特にホテルの部屋とか。

ポイ捨てシーンも多く、ホテルの窓から投げ捨てるのが多いのは、少しカチンと来ます(笑)。

こういうのを見ると、タバコを吸っている人を映しているだけで、それなりに画になるものだと勘違いできそうですね。

 

本作と言えば、

「俺は最低だ」

というセリフも有名ですが、Blu-ray版の字幕ではこれではありませんでした。

“あの映画で有名な名セリフ”という、紹介じみた企画(?)はよくありますよね。

数回見るような作品であれば、そのセリフが出てくるのが分かっていつつも、むしろ、それを楽しみにする事もあります。

それを変更しちゃうのって、チト安易だなと思うんですよ。

確かに、当時としては絶妙な意訳だったのかもしれないけど、キチンとした翻訳であれば的外れかもしれないし、現在という時代にはそぐわない表現であるかもしれない。

でも古い作品であるほど長く言い伝えられる、つまり、そのセリフは伝統にすらなるんだから、何でもかんでもアップデートしちゃうのは風情がなさすぎるんじゃないでしょうか?

古い映画は字幕も含めて古いままが良いと思うんです。

 

あ、字幕と言えば。

ユニバーサルがリリースする、特に古い作品に多いんだけど、字幕の表示(not翻訳)にストレスを感じるんだよね。

“…(三点リーダー)”が“...(半角ピリオドX3)”に、

“っ(促音&拗音)”が上下中央揃えになっていたりと、かなりの違和感。

のみならず、洋画において、非母国語での会話時にはフィルムに焼き付けた字幕が表示される場合、画面右側に縦書きで表示されるのが一般的ですが、画面上部に表示されるというザマ。

 

特に前者に関しては、映画の字幕に限らずよく見られますよね。

“・・・(中点X3)”とか“。。。(句点X3)”とか、もっとヒドいのになると“、、、(読点X3)”なんてのもあります。

某脚本家のシナリオに“、、、”なんてのが出てきた時には、この人の文芸レベルはどれだけ低いんだとも思ったものです。出演する俳優陣も、読みにくいとダメ出ししなよと(笑)。

 

この店のDVDやBlu-rayのレビューは、日本語吹き替えに執心する連中に乗っ取られてしまいましたが、こういう腐った字幕をどうにかするような運動(?)に注力して欲しいものです。