観た、『死刑台のエレベーター』と『死刑台のエレベーター』 | Joon's blog

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『死刑台のエレベーター』と『死刑台のエレベーター』を観ました。
…って、何の事かっつーと、1957年にフランスで作られたオリジナル版、2010年に日本で作られたリメイク版の事です。

不倫から起きる殺人事件に、もう一組の男女が絡んできて、完全犯罪にヒビが入る……と言った感じのお話です。
ストーリーに関しては大同小異なので、どちらを観ても良いと思います。
…と言いたいけど、できれば両作とも観たいですよね。

正直、リメイク版を21世紀の日本で作る意味があるんだろうか?と思った人は、俺ッチも含め、少なくないと思います。
オリジナル版を観た人なら、その感もいっそう強いでしょう。

――これは近年、リメイクやら原作の映画化やら続編やらに関して、個人的に思う事なんですがね。
若い人に限らず、“古い”というだけで面白くないと感じる人が少なくないようです。
温故知新という言葉を知らずに生きている人には、最新の技術や、現代の世相・風俗を反映させた内容としてお膳立てしてやらなければ、見向きもされないでしょう。
そんな作品を観た上で、オリジナル版や前作はどんな感じだったんだろう?という興味を持ってもらう事に、存在意義があると思うんです。
そこから古い方の作品を観て、両作を比較してみるのも、映画を観る楽しみのひとつではないかなと。

リメイク版の哀しみは、確実にオリジナル版と比較されてしまう事。まぁ、作る方もそのくらいの覚悟や図々しさは当然あるはずですが…。
このリメイク版は、オリジナル版を意識しすぎてしまい、あまり羽目を外せていないんですよ。オリジナル版との差異をウダウダ言うような連中にツッコまれるのを恐れているかのように(笑)。
若い方のカップルの男の方が、親分の情婦の元カレ(笑)だったんだから、そこでヨリが戻り、主役である時藤&芽衣子と同じ関係になってしまう……なんてのも、収集つかなくなって面白かったかも?

これは本来ならどうでもいい事なんだけど、両作とも車のチョイスが絶妙です。
リメイク版はアルファロメオとジャガーを使っていますが、なかなかのセンス。
もしリアルだったら、BMWとベンツという、実にありきたり&つまんねー組み合わせだっただろうからね(笑)。
でも……ガルウイングという、若者が憧れそうな要素もある300SLを使ったオリジナル版の勝ち! ホント、カッコ良いんですよ…。

オリジナル版は、全編に流れるジャズが良かったし、今では作品と切り離せない要素として知れ渡っています。
リメイク版は、これを少し軽んじていたのかな? とは言え、マイルス・デイビスさんに該当する人を探してくるのは難儀しそうですが…。

正直、今も昔もフランス映画は解釈が難しい作品が多く、オリジナル版に関しても、どこまで理解できているのか自分でも分かりません。
大衆性としてはリメイク版の方が上なんでしょうが、俺ッチ的にはオリジナル版の方が好きですね。

――尚、俺ッチが観たリメイク版は、10数分ほどカットされているテレビ放映版なので、ノーカット版のものを鑑賞すれば、少しは感想が変わ……らないだろうなぁ…。