『機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN』観ました。
『AGE』の中で最も人気のあるアセム編(←削除法ですが…)を深く掘り下げた本作ですが、前後編合わせて2時間半(!)という長尺も相まって、かなり見応えがある作品でした。
『AGE』の、特にアセム編は、個人的に全てのガンダム作品の中でも確実に5本指に入るくらい好きな作品です。
『AGE』の批判をして気分が晴れる人間は、この先、特に面白い文章もないので消え失せた方が時間を有意義に使えますよ。
まず、学園生活に時間を掛けている点が好印象。
おそらく若い世代が、特に深夜アニメが好きな連中が期待していたそれとはチトかけ離れていたかもしれませんが、どーせ海辺のシーンがあれば大喜びだろうから放っておいて(笑)。
個人的には、学園生活はアセム&ゼハートの昵懇ぶりを表すための、いわば前フリみたいなものだと思っています。これがあるからこそ、後の展開における二人の苦悩が深くなるのです。
ただ、意見の衝突→喧嘩→「ハハハ」」という流れは、青春モノの王道と狙っているのか、クサ過ぎです(笑)。
余談ながら、『SEED』が惜しいと感じたのは、そこなんだよね。
その昔、キラとアスランは友達だったらしいけど、それを象徴or根拠とするシーンが皆無に等しい(トリィを受け渡しするアレくらい)。その上で、戦えないとか戦いたくないとか何とか言われたところで、どこまで煮え切らない主人公なんだと感じたものです。
学園生活を送っている頃に、フリットがゼハートを訝しむシーンがあっても面白かったかもしれないですね。ヴェイガンに対し過敏に反応する嗅覚を持っているという、ネタ気味な意味でも(笑)。
敵であるゼハートとは仲良くなるが、家族=自分の最大の味方であるフリットとの溝が深まってしまうという、アセムをさらに苦悩させるための演出です。…チト過酷かな(笑)?
Xラウンダー用のヘルメットを使うエピソードも含め、“スーパーパイロット”のくだりは、もう少し描いて欲しかったかな。
“スーパーパイロット”というダサい呼び名にアセムもチト引き気味でしたが(笑)、ウルフ隊長のキャラを表すシーンだったので、オミットされてしまったのは残念。
アセム編の魅力は、特にアセムの苦悩を重点的に描いている点にあると思います。
さらに言うと、Xラウンダーという先天的な才能もなく、あくまで努力&根性で、自力で“スーパーパイロット”になろうとする姿が胸を打つのです。
いわゆる“スポ根モノ”を見て育ったオッサンなら、この辺を理解してくれそうですが。
そんなアセムの心情と見事にリンクしたアセム編のED曲『My World』を使っているのも、なにげに高ポイント。
自分を取り巻く人間関係や状況といった環境の中で、自分は何をすれば良いのか? どうすれば評価される=存在価値を高められるのか?
そんなプレッシャーの中でノルマをクリアせねばならず、アセムは迷走します。
ノルマを消化しなきゃならないのは変わらないが、それを自分なりに、周りの視線や言葉などに惑わされず、自分の方法でクリアしていけばいい。
“僕が僕であるため”にもがき続けた、まるでアセムのために作られたような曲で好きなんですよ。これこそが真のタイアップってものです。
ただ、宇宙海賊なんてみっともない落ちぶれ方をしてしまった点が悲しいです。海賊を曲解している若者に媚びてる感じで。
海賊になった辺りの経緯を描いて欲しかったけど、ほぼスルーでしたね…。