号泣してしまった。「さよならマエストロ」第8話。情熱に従う難しさ。 | 読書と、現代詩・小説創作、物語と猫を愛する人たちへ送る部屋

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小説や詩の創作、猫また大学通信を書いています。Twitterは、atlan(筆名:竹之内稔)@atlan83837218 放送大学在学中。「第8回新しい詩の声」優秀賞を受賞。
 京都芸術大学の通信洋画&文芸コース卒業/慶應義塾大学通信卒業/東洋大通信卒業/放送大大学院の修士全科生修了。

TBSの日曜ドラマ「さよならマエストロ」を、いつも楽しみに観ています。

最初は、「ありがちなオーケストラものじゃん」とか、「夏目響役の芦田愛菜の不機嫌な顔ばかりは、反抗期設定とはいえ、かわいそう。無理設定しすぎやろう」とか、

相方にもぶつぶつ言っていたのですが、

今朝、録画を観ていたら、3/3放映の最新第8話では、号泣してしまいました。(ToT)/~~~

 

 

 

コロナ禍で、最後の会話もなしにいきなり亡くなった自分の父親のこととか、

何もできないで本を読むことだけが取り柄だった自分の高校時代とか、

大学の頃、(やがて23歳で急病で亡くなる)親友の下宿で、夜中、天井を見ながら、「何か全力で取り組めるものがあったらなあ」と自分が語ったこととかを思い出したから、です。

 

ドラマの中では、市長である父から音楽を含めて、全否定されていた高校生の娘・天音(當真あみ)が、ラストで父の市長に宣言します。

「二ヶ月だよ。二ヶ月で、ここまでヴァイオリンを弾けるようになったんだよ。お父さんが褒めてくれないなら、私は私を褒めてあげる。私は私の気持ちを信じたい。絶対、指揮者になる」と。

(実際のセリフは違います。録画を何度見直しても、その度に号泣して、正確に覚えられない。笑

 僕は、ほんと何事も普通以下にしかできない、ヘタレでダメな高校生でしたから。)

 

その前に、主人公の世界的指揮者・夏目俊平(西島秀俊)が野球部の監督である父と喧嘩・家出をして、指揮者になった過去エピソードが紹介されています。

母校のスピーチで、俊平がこう言います。

「無理だ。諦めろ、なんの実績もないからと、あなたを傷つけ、あなたの夢を否定する言葉に耳を貸さないでください。

 あなたの中の情熱(アパッシオナート)を大切にしてください。

 あなたがその情熱に従って暮らした日々は、一生の宝ものになります」

(ここも実際のセリフは違います。やはり録画を見直しても、その度に号泣して、やはり不正確なまま。笑)

 

いや、ドラマ(映画)って、いいですよね。

(思わず、名・映画解説者の故淀川長治さん調に、しみじみと述懐してしまいます)

物語の力だよなあ、と、ここもしみじみと思いました。

盛り上がるシーンでのBGMの、「ありがとう、掠(かす)れずに伝えたい」の歌詞、アイナ・ジ・エンドの歌う主題歌「宝者」の入り方が絶妙です。

ズルすぎて、ひどい。

歌声が、もうほとんど流れてくるだけで、パブロフ犬状態になってしまい、ほんと泣かせてきますから。

 

このドラマが、いや、ドラマに、自分の心臓をまさにぶち抜かれました。

今のグズグズで、決めた改稿作業すらまともにできない、書かないままの自分が思いっきり恥ずかしくなりました。

 

16年前の自分に、

高校時代の自分に、

亡くなった親友に、

恥ずかしくない生き方をしよう、と改めて思いました。

 

それにしても、俊平の父役の、柄本明の演技の凄さよ。

セリフも少なくて終始、不機嫌で怒ってるだけのシーンばかりで、ちらっとしか出てこないのに、

全てを掻っ攫っていきます。

「もう帰ってくるな、しっかりやれ」の溜めの効いたセリフと、しわくちゃの複雑な表情に、また涙腺が崩壊させられてしまいます。

 

これぞ、昭和の不器用なお父さん像ですね。