2019年の活動報告。その2、講演会編です。
少し長くなって申し訳ないですが、
お付き合いください。
【D、講演会】 ◎
2010年は、12個。
2011年は、10個。
2012年は、6個。
2013年は、16個。
2014年は、7個。
2015年は、6個。
2016年は、6個。
2017年は、9個。
2018年は、19個。
今年は、12個でした。
正直、もうやめようかと思いはじめてますが、つい行ってしまいます。
行って当たりのものも多いんですがね。
1、2月6日 詩人の江口節さんと永井真澄さん。第38回こうべ市民文芸の受賞式。◎
そこで、選者の詩人の先生お二人からの講評でした。
「詩は、立ち上がり1行1行で決まるし、最後ももっと大切。無駄の言葉は書かない」
「詩の1行は、意味の区切れで切らないと、通じなくなるから、気をつけて」
「自分が一生懸命書きたくて、書いた行も、応募前に第三者視点で観て、くどかったりしたら、削ること。パフェ食べた後で、アイスクリーム出てたら、うえってなるでしょう」
「内省的な詩行は並んでもいいけど、内省のままで終わるのではなく、その切っ先がどこに向かっているか、示さないとダメ」
「詩には、いろいろな形や書き方はあるけれど、印象的なシーンや美しいシーンが必要。ないとダメ」
「普段の中から、詩の言葉を見つけることができるはず。世間からの見方や決まり文句、まとめ言葉に絡めとられないようにする」
「固定観念じゃなくて、閃きのある言葉が大事。でも、今回は高校生の閃きだけで短すぎるものは重さがある言葉に負けてしまって落選しちゃった」
「自分を一度壊してから、気持ちが出て来る場合がある」
どれも貴重な意見で、これだけを心掛けるだけで、詩がとても良くなり、参考になりました。
いつか、お二人の会にも参加したいと思いました。
2、2月16日 司馬遼太郎記念館、菜の花忌シンポジウム。作家の澤田瞳さん、安倍龍太郎さん、歴史家の磯田道史さん、元官僚の佐藤優さんの4人に、パネリストとして、元NHKアナウンサーを加えてのシンポジウム。 ◯
澤田: ( 時代小説は、常に制約の中で書かれるが )私は、制約のある、資料の間を埋めるのが好きなんです。
安倍: それはそうで、空白からは何も生まれないのですから。
佐藤: 嘘のような本当の話と、本当のような嘘の話の両方を混ぜている。
面白かったです。
歴史小説を、いつか書きたいです。
ちなみに、明石市文芸祭に入賞した作品は、ある意味、僕にとって初の歴史もの童話でした。
この路線ならかけそうです。
3、3月5日 小説家の辻原登さんの講演会。カフカの『変身』について語る。◯
「小説は夢であり妄想。物語を考え、時系列を組み立て直す妄想。いい小説を書くには、おおいに作品を研究して触発されるべきではないか」
辻原さんが、他人の小説から多くを学んでいることや、研究していることが痛感させられた。
4、4月3日 中之島の朝日カルチャーセンターで、文藝雑誌『海燕』の元編集者で、
去年は二人も自身の創作教室から芥川賞作家を誕生させた凄腕の、根本昌夫さんの講義。◎◎
「小説はスラスラ読む力だけでなく、これは何だと留まらせる力も必要だ」の考え方や、ヌーヴォ・ロマンの仏文学の小説のこと。
これには、目から鱗が落ちました。
最高に面白い講義でした。
5、4月22日 よみうり芦屋サロンで小説家の辻原登さんの講演会。×
辻原登さんの講演会は、大阪文学学校て先月聞いたばかりだったけど、今回は大外れ。
6、10月6日「詩のフェスタひょうご」で、詩人の池井昌樹さんの講演会。△
「自分の残したものは何だろうと思ったときに、息子たちだ、彼らこそ自分の遺品だ、と気づいた。
そして、自分もまた父母の遺品なんだと、思って、世の中は遺品だらけなんだ、と思う」
話自体は感動的だったけど、創作には参考になりませんでした。
7、10月19日 武庫川女子大学主催の小説家、森見登美彦さんの講演会。◯
一番印象的だったのは、その作品世界に相応しい語り口ができるキャラクターを考えることを、最初にする、というもの。
ストーリーありき、じゃないんですね。
「主人公を決めて、じや、そんな子どもを育てる親はどんな人で、
ライバル的なキャラクターは、こういう対照的な性格なら、いいね、」
と作品世界の骨格を構築する方が先なこと。
8、11月9日 関西大学へ読書教養講座で、森絵都さんのトークショー。
今回は、森さんが、児童文学・ヤングアダルトで書いてきたのは、
「『リズム』を書いた当時、その当時、優等生か、斜に構えた変なキャラクターばかりが、主役だったので、たまたま大部分の普通の子を主人公にしたのが良かったんでしょうね」とか、
「『みかづき』は、それまでの横の世代の話しかけるだったので、縦の軸の話を書きたかった」とか、の話が聞けたのは良かった。
僕も児童文学と、大人向け小説との二つの嗜好があるので、
とても勉強になりました。
9、11月9日 神戸山手大学で、脚本家の小林靖子さん講演会。
小林さんはアニメ『進撃の巨人』や『ジョジョの奇妙な冒険』、それに戦隊シリーズや『仮面ライダー龍騎』の脚本を書かれた方。
滅多に聞けない方なので、ダブルヘッターですが、行きました。
子どもの夢を壊さないためにも、オフレコでSNSには、書かないで、と約束させられたため、その内容は詳しくは書けません。
その一端だけ。
例えば、戦隊ものでは、合体シーンがあるので、丁寧にそれをやると、
呼ぶシーンも含めて、3分間は尺を使う、とか、
ライダーものでは、前半のAパートでは変身シーンを、入れなくていい、とか、
変身シーンも名乗るやつと、尺の関係で光って終わりだ、とか。
これが受けるだろうとか、子ども向けとか対象を意識しすぎると、
脚本が書けないので、
特撮を面白がる人に向けて、書いています、と言うのが一番深く真理を感じました。
10、11月11日 芥川賞作家の上田岳弘さんの講演会。◎
好きな作家で、参考にすべき作品だったので、
直接、どういう意図で作品を描かれたかを聴けたことは、とてもありがたかったです。
11、11月17日 詩人の以倉紘平さんの講演会。○
「子規は、虚子に「写生」に関して嘘を書くな、ありのままに、と言ったが、
子規のリアリティとは、心のあり様で書くから、梶井基次郎の「桜の木下に死体が埋まっている」のように幻想的なものも含んでいる。
上村肇の「みずうみ」の詩や、井上靖の「地中海」の短篇小説のような手法と同じだ」
普段とはまた違うお話でした。
12、11月30日 時里二郎さんの詩人で辻征夫さんに関する講義。◎
辻征夫さんが最初期から8年間、詩集を出さなかったけれど、
二期には、どんどん作品や詩集を出したことに、
「他者との対話や、リルケからの影響で「問いを育てた」こと、答えを出さない書き方があった」というのは、卓見だと思いました。
以上、こうしてみると、今年は当たりの年だったんですね。
僕自身に、創作の壁があって、受け入れ態勢になってないから、やや消極的な評価になっています。
いくら刺激があっても、書けなきゃ意味がないんですよね。
そろそろ結果を出さないと。
苦しんでいます。