中之島の朝日カルチャーセンターで、文藝雑誌『海燕』の元編集者で、
去年は二人も自身の創作教室から芥川賞作家を誕生させた凄腕の、
根本昌夫さんの講義がありました。
たった90分の、1回限りの講義で何が勉強できるんだろう、
と半分くらい疑いつつの申し込みでしたが、
杞憂でした。
とても良かったです。
基本、根本さんの恩師で早稲田大学教授であり作家・文芸評論家でもあった平岡篤頼さんの最終講義録をテキストに、
講義は勧められます。
単に口頭で述べるのではなく、
その平岡さんが芥川賞候補になって、該当作なしで終わるドキュメンタリー番組や、
根本さんご自身が、稲垣吾郎くんの番組へ出演したときの番組なども見せて、
受講生を飽きさせませんでした。
特に、印象的だったのは、
「小説はスラスラ読む力だけでなく、これは何だと留まらせる力も必要だ」の考え方。
これには、目から鱗が落ちました。
それに関連して、平岡さんが翻訳したヌーヴォ・ロマンの仏文学の小説のことや、
ラストは、北村太郎さんの詩まで引用して、
「小説や文学の持つ構造や重層性」や、「時間的に遅れてくる発見」など、
普段、僕が書くポイントにしていることと、関連したものがバンバン出て来るので、
ドンピシャで、少しシンクロニシティを感じました。
ヌーヴォ・ロマン関係で、倉橋由美子と、金井美恵子の作品を再読したくなった。