「I’m fine thank you, and you? って習ったけど…ネイティヴは使いますか?」こんな質問を時々受ける。ネットでも「ネイティヴはfineなんて言わない」「それは日本人の教科書英語」等の意見を目にする。実際はどうなのだろうか?まず、状況次第で ‘How are you?’ が「①挨拶」か「②質問」かに分かれることを知っておこう。今回は「①挨拶」のやり取りを、3つのポイントに絞ってお伝えする。


1. 「社交辞令」

そもそも「ネイティヴ」とは一体誰のことを言うのだろうか?英語ネイティヴは7カ国…アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、そして南アフリカ。南アでは「ネイティヴ」たちが ‘(I’m) fine thank you, and you?’ と言うのを頻繁に耳にする。確かにニューヨーク在住時は、このセリフよりもバラエティに富んだ他の返しを耳にしたが、アパートのドアマンとのやり取りは常にこうだった。

私:‘Hi, how are you?’  
ドアマン:‘Hi, how are you?’

このやり取りから ‘How are you?’ は「こんちは〜」以上のことは言っていない「挨拶」であって「元気?(気分は?体調は?)」と言う「質問」ではないことがわかるだろう。ランダムな人との ‘How are you?’ のやり取りはあくまでも「社交辞令」だ。日本語の「ただいま〜」「おかえり〜」と似たようなもんで、お互いの存在確認や会話のきっかけであり特に意味はないし、単語を変える必要がないのと同じだ。

2. 「英語のテンポ」

一日に何度もする挨拶、南アでの定番中の定番は…

A:‘Hi, how are you?’
B:‘Good and you?’
A:‘Good, good.’ (good, good … ずっと続く場合も)

約3秒。どんな場面でも本題に入る前にこの「お決まりの儀式」がある。ロボット的な定番フレーズのやり取りだ。お店で、学校で、職場で、アパートで…「一瞬」で交わすこのやり取りには、コツがある。それは「英語のテンポ」だ。相手は「‘How are you?’ と言えば ‘Good and you?’ が返ってくる」と思っているから、無意識に次のセリフの準備をしている。変な「ま」を置こうものなら ‘And you?’ と聞く前に ‘Good, good’ と言いだしてたり、相手はすでに立ち去ってる、なんてこともある。ちなみに、少しでも言いやすくするため「英語特有の音声変化=音のつながりや脱落」が起こり ‘Good and you?’ は、お互いくっついて「ッダンにゅ〜?」みたいな音になり、スピードがさらにupする。テンポを崩すことで相手にストレスをかけない、ワンパターンでいいからサクサク進む。英語コミュニケーションにおいて重要な要素だ。

3.. 「思いやり」を示して「ワンパターンを貫抜く」

とはいえ、特に英語ネイティヴ人口が圧倒的に多いアメリカでは ‘How are you?’ に対しての返しは人それぞれなのは確かだし ‘Pretty good’ ‘Not bad’ ‘As usual’ 等、何が飛んできてもいいように知っておくことは大事だ。私もアメリカから帰国後は、生徒に色々な表現をしてみるよう推奨した時期があった。しかし南アで毎日「儀式」に参加している今はこうお伝えしたい。「挨拶はワンパターンを貫いていい」と。単語のチョイスでつっかかるくらいなら ‘fine’で通せばいい。むしろ、笑顔でアイコンタクトを取りながら ‘And you?’ ‘How are you?’ など「そっちは?」と添えて「思いやり」を示す事を忘れないでほしい。参考までに、シンプルな3ステップのパターンを1つ紹介する。

  • 1. 声かけ Hi  
  • 2. 名前  Candy ※省略可
  • 3. 気遣い how are you?

  • 1. かえし Good
  • 2. お礼  thanks ※省略可
  • 3. 気遣い and you?  

‘Good‘は ‘Fine’ でも ‘OK’でもいい。「自分が一番言いやすいものが正解」だ。ただ、そのフレーズはいつでもスムーズに引き出しから出せるようにしておこう。

お互いの存在をサクッと認識する「挨拶」。笑顔でアイコンタクトを取りながら、自信を持って持ち駒をスッと出せば、気持ちのいいコミュニケーションにつながることは間違いない。

他人と交わす ’Hi how are you?’ のある公園

英語コミュニケーション講座
講師  Candy

♪Candyの南アフリカ生活シリーズ♪