みなさんは「南アフリカ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?大自然?ラグビー?サファリ?私は南アフリカのヨハネスブルグに引っ越しが決まった夜、部屋の隅で目を光らせていたチーターに頭を噛まれる夢を見た…「ヨハネスブルグ」で検索すると「世界最恐都市」「世界一治安が悪い」など、恐ろしい内容がトップで出てくる。全く未知の世界、南アフリカ。一体どんな生活になるんだろう…と不安だったのもつかの間、「一度住んだら離れたくなくなる」「住みやすい」「ご飯が美味しい」「ワインとお肉」「気候が最高」「多様性社会」「ミニヨーロッパ」「世界が変わる」など、嬉しい情報がどんどん舞い込み、一気に期待が高まった。

 

しかし時はコロナ真っ只中。主人はロックダウン中に、私と娘はその半年後の2022年の年明け(オミクロン勃発直後)に渡航。南アフリカはコロナにおいては当時一番マスコミを賑わせており、ネットの悪評も含め、皆から「あんなとこ行って大丈夫か⁈」と心配されたが、到着時の印象は「全然普通の生活ができそう」だった。レストランはどこも賑わっていて、マスク会食とはほど遠かったのを今でも覚えている。食事も美味しい。街には大きなビルが立ち並び、数々の綺麗なショッピングモールには素敵な物がいっぱい売っていて、世界中のものが手に入る。治安が良くない分、どこへ行ってもセキュリティはかなり厳重。気候もウワサ通り最高、カラッとした1月の夏の空気は爽やかで、青い空がどこまでも続く。別物かと思うくらい大きい夕日に圧倒されたり、陽気な人たちに出会ったりする毎日。新旧・貧富が入り混じり、多民族・多言語が混在し、大都会・大自然が隣り合わせのヨハネスブルグ。ワクワクした気持ちでのスタートとなった。

 

渡航から1年半。すっかりなじみ、色々分かってきたところで、南アフリカを連載で紹介していこうと思う。そこで、いくつかはっきりさせておきたいことがある。それは「南アフリカ」は他のアフリカの植民地とはちょっと変わった歴史を持っていること、「南アフリカ」はとても広く場所によって文化や環境が大きく異なること、私の住んでいる大都会の中心地「ヨハネスブルグ」は南アフリカの一部にしか過ぎないということ。例えば、高級車が走り回り豪華マンションが立ち並ぶこの街にはキリンはいないけど、車で6時間も走れば四国の面積ほどの、野生動物がたくさん生息する国立公園があるとか、15分も走ればタウンシップと言う貧困層の大集落があるとか、ヨハネスブルグは乾燥してるけど海沿いの都市ダーバンは湿度が高いとか、ヨハネスブルグは治安上外歩けないけどケープタウンは歩けるとか…「南アフリカはこうだ」と、ひとことでは言い切れないことが多々存在するのが南アフリカ。そんな面白い国を、改めて色々な角度から見ていくのでお楽しみに。

 

ヨハネスブルグの中心、サントン地区の憩いの場「ネルソンマンデラスクエア」

 

2020-2022年 英語コミュニケーション講座 担当講師

ヨハネスブルグ在住 Candy