英語コミュニケーション講座講師のCathyです。今回はイギリスでの学生生活についてお話しようと思います。まずは、ブライトンで公立カレッジの英語コースに通っていたころの話です。
ブライトンには2002年の1月から6月まで半年間滞在し、公立カレッジの英語コースに通いました。イギリスの公立カレッジは日本で言う専門学校のような学校ですが、日本と違うのは一つの学校に様々なコースがあることです。美容、料理、アート、コンピューター、建築、エンジニアリングなど一つのカレッジの中に様々なコースがあります。私が通ったのはその中の英語が第一言語以外の人のための英語コースでした。
英語を学ぶために民間の語学学校ではなく、公立カレッジの英語コースに決めた理由は、ローカルのイギリス人学生とも交流が持てるかもしれないと思ったからです。実際、ある日カレッジの入り口で美容師コースのイギリス人学生に声を掛けられ、カットモデルに誘われたことがありました。アジア人の髪質は欧米人の髪質より硬くて太いため、アジア人の髪をカットする練習のためにモデルが必要だったそうです。美容師クラスに行くと、先生のカットの教え方は私には斬新でした。なぜなら、髪を首筋にピタッと当てられて、首を曲げられ素肌にピッタリとはさみをつけて切られたのでくすぐったいし、首を頻繁に動かされるので首が忙しいし、日本とは違うカット方法で切られて、とても貴重な経験をしました。
話を英語コースのことに戻します。英語コースには5つのクラスがあり、初日にレベル分けのプレイスメントテストがありました。その結果、私は上から2番目のアッパーインターミディエートのクラスに入ることになりました。クラスには約15名のクラスメートがいて、そのうち日本人は私ともう一人のみ。その他は、トルコ人、スペイン人、ブラジル人、中国人など世界各国からの留学生でした。カレッジの英語コースは9月から6月末まで3ターム(学期)に分かれていましたが、私は1月から始まるセカンドタームから途中入学し、6月末にロンドンに引っ越すまで半年間そのカレッジで英語の勉強に励みました。
担任の先生の英語の教え方はとても独創的で、ジェスチャー、顔の表情、アクションなどありとあらゆる非言語を織り交ぜながら語彙や文法を教えてくれました。最初は驚きましたが、全身で伝えたいことを表現してくださる先生の授業はおもしろく、毎回今日はどんなアクションが飛び出すのだろうと楽しみになったものです。先生が「今のはどういう状況だと思う?」とクラスに聞くと、先生が言い終わらないうちに、トルコ人やスペイン人のクラスメートが手を挙げて発言します。トルコ人の一人は先生が話している最中でも構わず手を挙げ”Can I say something?”と頻繁に先生の話に割り込み質問をしていました。その積極性は私には到底真似できず、いつも先生に当てられた時か、ペアワークでしか発言できず授業が終わっていました。
英語コースでは、英語の4技能を満遍なく伸ばすために頻繁にライティングの宿題も出されました。私はスピーキングよりもライティングが得意だったので、いつも楽しんで書いて提出していました。ある日の授業で、先生が「Miwa(私)のライティングのホームワークが良く書けているからクラスに回します。」と言って、私のノートが回されたことがありました。いつも積極的に手を挙げてたくさん発言しているトルコ人のクラスメートがとても褒めてくれて、私は少し自信が持てたのを覚えています。実は、イギリスに到着してから毎日英語で日記をつけていたので、書くことがもともと好きだったものの、さらに長い文章(ノート2ページくらい)は毎日書くことが苦じゃなくなっていました。それに、自分の書いた文章は自分に関係することだから、単語も調べながら書いても、その単語も自分が使いたい単語なのですぐに覚えることができます。日記を書いてから、さらにそれを口に出して読むことでスピーキングの練習にもなります。私はそうして覚えたセンテンスを友人に話してスピーキングも鍛えていました。
ある日のライティングの授業でのことです。いつものように宿題で、ビジネスメールを書く課題が課せられました。クラスメートのもう一人の日本人がメールの書き出しに、「お忙しいところ申し訳ございません。」という書き出しでライティングをスタートしていました。するとそれを読んだ先生がとてもいぶかしげな顔をして、「この“お忙しいところ~”の部分は不要!なんでこんな一文を入れたの?相手が忙しいかなんてあなたに分からないじゃない!」とフィードバックを返しました。彼女は日本人のビジネスマナーをそのまま英語のビジネスメールに適用したのですが、それは英語圏の文化では必要のない相手への気遣いだったのです。
このように、半年間の英語コースで私は英語+英語圏のコミュニケーションの方法も学ぶことができました。このブライトンでの英語コースでの様々な出会いや感じたことについてもう少し共有させていただきたいので、次回は続編を書こうと思います。
お楽しみに♪
ブライトンの英語コースの担任の先生(真ん中)、中国人のクラスメート(右)、私(左)
島根大学 英語コミュニケーション講座講師 Cathy