その昔、鳥には色がついていなかったそうです。
どの鳥もみんな白。
きじがあんなに派手なのも、しじゅうからにびしっと縦縞が入っているのも、みそさざいが敵に見つからないように地面と同じ色なのも、いぬわしが岩山のように堂々としているのも、かわせみがおひさまと水の色なのも、染め屋のふくろうが、色を塗ってあげたからなんですって。
ふくろうに染めてもらった鳥たちは、みな、生まれ変わって満足しています。
それを見たカラスは、羨ましくなり、自分も染めてもらおうと、ふくろうを訪ねました。
「ぼくのはねは どこの だれよりも いちばん きれいに そめておくれ」
ふくろうは、「きじさんみたいに」と言われ、注文通り染め始めますが「しじゅうからさんのような縦縞も」「いぬわしさんみたいに立派に見える色で」「かわせみさんみたいにとびっきりきれいなおひさまと水の色に」と、ああでもないこうでもないと注文を変えられて、あたふた。
何度も塗り重ねるうち、ついにからすは真っ黒になってしまい、かんかんに怒り、ふくろうをつつきます。
でもそれって、からすの自業自得だし、逆恨みですよね。
以来、からすはふくろうを見ると追いかけ回すようになり、ふくろうは、からすを怖がって昼間は森の奥に潜み、染め屋も廃業を余儀なくされてしまったということです。
正直に誠実に生きていても、悪者には勝てないという、理不尽なお話ですが、なんとなく憎めない愛嬌がありますね。
素敵な鳥たちの絵にも癒やされます。