えんまのはいしゃ | アトリエぽーぽー

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『アトリエぽーぽー』は、創作を楽しむ絵画教室。
講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。

えんまのはいしゃ

ここは地獄の入口。

えんまさまの前に、ほらふき歯医者がかしこまって座っています。

自分は「天下一の歯医者」だと、ほらをふいて、患者にさんざん痛い思いをさせてきたのです。

地獄に落ちるのは、免れそうにありません。


えんまさまに罪を暴露されても、ほらふき歯医者はたじろぎません。

「いえいえ、わたしの うでまえは たしかにてんかいち。わたしのちりょうで いたいなどというものが あれば、それは うそつきの かんじゃでございます」


そこでえんまさまは、鬼を集めて、歯の治療をさせてみます。

「もし なおすことが できなければ おまえのしたを ぬき、じごくへ おくるぞ!」


ほらふき歯医者は、さびだらけの道具で、虫歯でもない歯をギリギリと抜いてしまいます。

鬼たちは、うそつきで弱虫だと言われたくないがため、必死で痛みを堪えます。


最後にえんまさまの歯も治療します。

雷のような痛みがえんまさまの身体を突き抜け、気を失いそうになります。

えんまさまの口から、泡がぶくぶく~。


抜いて穴があいたところに、ほらふき歯医者は、将棋の駒を、ぐいっと押し込みました。

「こ・こ・この わひも ちっとも ひたふ なかったぞ。ところで おにども わひの あたらひい は は、どうじゃ」

とえんまさまが言うと、鬼たちは、

「えんまさま、おにあいで ございますぅー」

とひれ伏します。


それからというもの、鬼たちは歯医者を恐れ、せっせと歯みがきをするようになりましたとさ。


うそつきで弱虫だと言われたくないがために、健康な歯を抜かれても我慢するかしら?

名医にそう言われたならともかく、ほらふき歯医者と悪名の高い歯医者ですよ?


ほらふき歯医者の「ほら」に、もう少し説得力が欲しいところですが。

鬼たちが歯みがきをするようになったのはいいことですね。

表紙のどら焼きが美味しそう…。