本当のお話、と聞いて、子どもたち、興味津々です。
井の頭自然文化園という動物園に、ゾウのはな子がいます。
はな子は、日本にいるゾウの中で、一番のおばあさん。
人間は年を取ると歯が抜けますが、ゾウもそうです。
はな子には、歯が1本しかありません。
そのため、普通の食事ができないのです。
普通のゾウは、きゃべつは丸ごと、竹も藁もむしゃむしゃ食べます。
でもはな子は、きゃべつなら芯を取って8つに切り、バナナは皮を剥いてやり、にんじんは蒸して刻み、青草は短く切り、果物は細切り、ごはんはおにぎりにしなくてはなりません。
1個や2個ならたいした手間ではありませんが、1日に食べる分量が、バナナ200~300本、にんじん10キロ、食パン10斤、キャベツ4キロ、おにぎり12個、青草10キロ…、というからたまりません。
それでも健康なゾウの半分くらいの量ですから、栄養をつけるため、黒糖をお湯で解いた黒糖湯を70リットル!
鼻の力が衰えないように、わざとパンをあちこちに置いて、運動させるなどの工夫もしています。
ゾウは神経質な動物で、すぐ変調をきたすため、ここまで来るのも大変な道のりだったのです。
野菜をジュースにしたり、おからの団子を作ったり。
うんちが出なくなって、お尻の穴から水を入れて治療をしたり、冬は部屋を暖房で暖め、夏は冷房で冷やし。
はな子の長命は、飼育係さんと獣医さんの努力と愛の賜物です。
はな子はせかいでいちばんしあわせなゾウではないでしょうか。
今年で68歳。
ゾウのはな子と言えば、戦時中に亡くなったはな子を思い出す方も多いと思いますが…。
そのはな子にあやかった命名だそうです。