デイジーはお豆が大嫌い。
「ちゃんとたべなさい」とママは言うけれど…。
「おまめをたべたら、アイスクリームをあげるから」とママ。
「おまめ、だいきらい」とデイジー。
「おまめをたべたら、アイスクリームをあげるし、いつもより30分おそくまで起きていてもいいから」とママ。
「おまめ、だいきらい」とデイジー。
「おまめをたべたら、アイスクリームをあげるし、いつもより30分おそくまで起きていてもいいし、お風呂に入らなくてもいいから」とママ。
「おまめ、だいきらい」とデイジー。
頑固なデイジーです。
しかも、デイジーの顔がどんどん大きくなり、紙面いっぱいにひろがっていきます。
最後には、
「おまめをたべたら、世界中のスーパーマーケットと、お菓子屋さんとおもちゃ屋さんと自転車屋さんを買ってあげるし、プールを17個買ってあげるし、ずっと起きてていいし、学校にも行かなくていいし、お風呂に入らなくていいし、髪をとかさなくていいし、靴を磨かなくていいし、歯を磨かなくていいし、ハムスターの世話をしなくていいし、お部屋の掃除をしなくていいし、ビデオテープをケースにしまわなくていいし、服を着なくていいし、アフリカ大陸とチョコレート工場を92軒買ってあげるし、遊園地に引っ越してもいいし、ロケットを好きなだけ買ってあげるし、地球だって、月だって、星だって、太陽だって、買ってあげる、それに…それに」
さすがにそれは無理だって、デイジーだってわかります。
「ふわふわの筆箱も買ってあげる」
途端に現実的。
デイジーは、よっぽどふわふわの筆箱が欲しいのかしら、ついに懐柔されるのかしら、と思いきや、デイジーの逆襲。
「だったら、ママがメキャベツをちゃんとたべたら、わたし、おまめをたべてあげる」
モノに釣られず、正当な取引です。
えらい、デイジー。
結局、ママはメキャベツが食べられず、デイジーもおまめを食べず、ふたりで一緒にアイスクリームを食べます。
ちっとも食育になっていない!
という可愛い本。