マヌエラ・カラスコ来日特別トーク@インスティトゥト・セルバンテス東京 | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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『タンゴ探しの旅』の公演終了後1週間が経ったが、まだまだ残務整理が終わらない。でもそんな中、昨日はエルスール財団記念館での野村喜和夫現代詩講座の準備を済ませ、市ヶ谷のインスティトゥト・セルバンテス東京に出かけた。スペインを代表するフラメンコ舞踊家、マヌエラ・カラスコのトークイベントがあったからだ。

 

2024年6月23日(日)。開演時間ギリギリの14時半に、アウディトリオ着。公演のことでお世話になったTさんが受付にいらしたので、ご挨拶してから会場へ。すでに場内は暗くなっていたが、前から4番目ぐらいに空席を一つ見つけ座ることができた。

 

昨日のイベントの概要は下記。(間違いにお気づきの方はどうぞお知らせください。)

 

『Manuela Carrasco en Tokio: fuerza, brío y desplante en el Flamenco 来日特別トーク フラメンコの女王 マヌエラ・カラスコを迎えて』

日時:2024年6月23日(日)14:30

会場:インスティトゥト・セルバンテス東京アウディトリオ

出演:マヌエラ・カラスコ、マヌエラ・カラスコ・イハ、サマラ・カラスコ

内容:

●紹介と挨拶

●マヌエラ・カラスコのビデオ上映

●マヌエラ・カラスコ基金の説明

●マヌエラ・カラスコ基金のプロジェクトの紹介

●質疑応答

 

紹介されて登壇したマヌエラは、ジーンズ姿。でもそこはさすがに「女王」。膝の近くに開けた穴もかわいらしいハート形(?)だし、ジーンズのジャケットを脱ぐとさらにその下は白いフリフリがついたインナー!

 

 

 

 

 

娘のマヌエラとサマラは、マヌエラ・カラスコ基金の説明をした。ロマ語で「声」を意味する「GOLÉ」のプロジェクトも映像で紹介され、クリスマスの歌を作ったこと、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスことパストーラ・パボンに捧げる「Sañanda a Pastora」(曲種はセビジャーナス)を作ったことなどを紹介。そのさい、娘のマヌエラとサマラが2人で踊った。

 

 

 

 

 

質疑応答は、最初はどなたも挙手しなかったので、セルバンテスの方が「マヌエラ先生、踊る時の腕の動きと姿勢を教えていただけますか?」と切り出した。

 

すると、マヌエラ・カラスコと娘のマヌエラが舞台中央に進み見本を見せたので、観客は大喜び。そのさい、「足は毎日練習すれば何とかなるものだけれど、腕や姿勢は本当に難しい。一秒たりとも気を抜いてはいけないから、疲れる。今日はヨーコ(注:小松原庸子先生のこと)が来ているから、彼女は私の言っていることを分かってくれると思う」とマヌエラ。

 

 

 

 

 

 

次からは、お客様の質問。

 

「踊る時に大切にしていることは何ですか?」

「自分の感情。」

 

「今はヒップホップやコンテンポラリーなどもありますが、そういう中でどのようにして伝統を守りますか?」

「伝統のルールをこまめに守っていれば守れると思います。」

 

「踊っている時のハレオやパルマでどういうものが嬉しいですか?」

「ハレオは自分の気持ち次第。教えようがないです。パルマは難しいので、リズム感のない人は(私の踊っている時にするのは)やめて欲しい。(笑)」

 

トークのあいだじゅう、ずっと涙を拭うしぐさをしていたマヌエラだったが、次の質問では涙がどっとあふれた。

 

「今回の日本公演にファイナルというタイトルがついています。もう踊らないのですか? 日本にいらっしゃることはもうないのですか?」

 

やっとの思いでマヌエラが口にした答えはこうだった。

 

「昨年、大切なパートナーが亡くなり、私はその衝撃からもう踊ることをやめようと思いました。彼は夫であっただけでなく、いっしょに公演活動をするミュージシャン(注:ギタリスト)だったからです。でも、私はまた踊ろうと思い始めました。家族の応援があり、神様が私に力をくださったからです。そして、芸術のために踊り続けなければならないと今感じています。」

 

感動的な答えで、私も涙があふれた。

 

ホアキン・アマドールを失ったショックは、マヌエラ・カラスコにとって途方もなく大きなものだったようだ。でも、それを乗り越えて再び舞台に立ち、踊り続けようとしている彼女に大きな拍手とオレーを贈りたい。

 

写真は、25年前クルシージョで「セラーナ」を習った時のもの。緊張して硬直している私と、それがおかしくて笑うマヌエラ。そして、ギターを持ったホアキン・アマドールもいっしょに写っている。

 

 

 

 

 

今日の舞台にホアキン・アマドールの姿はないが、マヌエラは彼の魂と共に踊ってくれることだろう。