『タンゴ探しの旅』への道(その4) | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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おかげさまで、公演『タンゴ探しの旅 ~二つの川を渡って~』は無事に終了いたしました。遅ればせながら、公演にいたる日々と、公演中、公演後のことを数回に分けてご報告させていただいております。今回は4回目です。

 

6月15日(土)。公演初日。家の遠いスタッフ・キャスト21名が、劇場近くの中華街のホテル4ヶ所に泊っている。私が泊っているのは朝陽門近くのビジネスホテル。早朝の中華街は、昼夜の喧騒とは想像もつかないほど静まり返っている。

 

 

 

 

 

 

 

カフェで朝食をとってから、8時45分に楽屋入りした。出演者は10時半のリハーサルに間に合うように楽屋入り。前夜の通しではみ出たエピローグと、確認が必要な個所のリハーサルを行った。

 

楽屋やロビーに次々とお花が届き、公演の実感が湧いてくる。最初に届いたのは、大阪のバイラオーラ松本真理子さんからのアレンジメント。前夜すでに楽屋に届いていたので、それを見ながら一つのアイデアが私の頭の中に浮かんだ。

 

 

 

 

 

第2部8曲目のギターソロの後、グラナダの路上で謎の女役の私とファロリート役の出水宏輝さんがすれ違うシーンがある。そのさい、ファロリートは「グラナダに住んでるの?」と謎の女に問い、謎の女は「ええ」と答えて手に持った籠の花から1本のカーネーションを取り、「(母に会えるよう)幸運を祈る」と言いながらファロリートに渡す。

 

前夜の「止め通し」のリハーサルでは造花を使ったが、本番は生花で行こうと決め、出水さんに相談すると賛成してくれた。

 

ちなみに、籠は今年の1月のプロモーションビデオ撮影のさいグラナダで購入したもの。私が1月1日の大怪我——肋骨3本骨折、右膝骨挫傷、右膝後十字靭帯損傷——により車椅子でスペイン入りしたため、日本に持ち帰れなかったものを、今回の帰国のさい河野麻耶さんのお子さん3人が持って来てくださったのだ。ありがとうございます!

 

大森さんも午前中から劇場入りし、主催者・制作スタッフの楽屋でおしゃべりに興じた。

 

 

 

 

 

こちらは、15日の昼のお弁当のラインナップ。私はキーマカレーをいただいた。

 

 

 

 

 

 

そして、メイクと衣裳着用。1回目の14時の本番前に、楽屋通路でお互いにエールを送って舞台袖に向かった。まずは、私の「リベルタンゴ」のパルマから。緊張するシーンだ。

 

4分ほどのこのシーンを練り上げるまでに、実は多くの話し合いがあった。

 

「アルゼンチンタンゴにはいろいろな曲があるのに、なぜ『リベルタンゴ』なんですか?」と、マーシー&マギさん。その時の私の説明はこうだった。

「今回の公演では、アルゼンチンタンゴとフラメンコのタンゴの関係性を探るという目的があります。『リベルタンゴ』のリズムは、私たちフラメンコアーティストにも馴染みやすいため、それをパルマ(手拍子)でプロローグに入れ、エピローグの少々変則的なリズムのタンゴのパルマへとつなげ、大きな円環を閉じたいのです。」

 

彼らにしてみれば、「リベルタンゴ」は普通過ぎて、アルゼンチンタンゴファンにはインパクトがない。あえて冒頭にやらなくてもいいのではないかと思うことは至極当然だった。でもそこはアルゼンチンタンゴ界のチャレンジャー、マーシー&マギさん。「それでは、フラメンコギターで『リベルタンゴ』を踊るのはいかがでしょう?」と提案してくださった。

 

ギタリストの北岸麻生さんに相談すると、すぐにOKしてくださった。北岸さん、すごい!

 

こうして、プロローグの冒頭が出来上がった。後は、私のパルマが走らないように気をつけるだけだ。(笑)

 

1回目の本番終了後、ロビーに出てお客様とお話しした。写真もたくさん撮った。そのさい、いただいたスタンド花(バイラオーラの城井二葉さん、阿部碧里さん、野村眞里子の講座「スペインとフラメンコを知る」受講生のみなさん、ありがとうございます!)の中に、また本番で使えそうな色のカーネーションを見つけ、こっそり1本楽屋に持ち帰った。(笑)

 

 

 

 

 

 

 

楽屋に戻り、休憩。1日2回公演は、スタッフもキャストもみんなきつい。この休憩の過ごし方がとても重要なのだ。そこで、お客様からいただいたお菓子をあけて、みんなでいただくことにした。

 

能役者の山中一馬先生にいただいたゼリーとメロンパン、俳優でバイラオールのグラシアス小林先生にいただいたプレス・バター・サンド、フランス文学者の高頭麻子先生にいただいたミルフィーユなど、おいしいものが並び目移りするほどだ。みなさま、本当にありがとうございます!

 

 

 

 

 

 

 

 

2回目の本番終了後、ロビーでお客様と出演者で記念撮影。左から衣装デザイナーの立川広子さん、バイラオーラの松彩果さん、ファロリート役の出水宏輝さん、謎の女役の私、母親役の河野麻耶さん、祖母役/パーカッションの朱雀はるなさん、衣装デザイナー/バイラオーラの益子美江さん。みんな仲良し!

 

 

 

 

 

 

 

2回の本番を何とか無事に終え、劇場を出る。河野さんは、出演者数人を引き連れて「反省会」へ向かった。前夜置いてけぼりにあった伊藤笑苗さんも、いっしょに参加できたようだ。

 

私は、またもや退館時間ギリギリにKAATを出た。ホテルの部屋での夕食。まい泉のお弁当のうち、ヒレカツサンド&おいなりさんを選んだ。やっぱり「カツ」です。それにしても、私の夕飯の量多すぎ?(笑)(つづく)