『Rain』東京公演千秋楽鑑賞 | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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昨日は、夫とともに初台・新国立劇場小劇場で開催された『Rain』東京公演の、最終日最終公演を観にうかがった。

 

フランスから帰国直後の先週は、フラメンコを2夜続けて観に行った他はたまっている仕事の処理に励んでいたが、昨日は、鈴木竜さんの演出・振付、大巻伸嗣さんの美術、evalaさんの音楽で、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンス、ストリートダンスの精鋭ダンサーたちが、サマセット・モームの短編小説の傑作『雨』に挑むということに興味を持ち、うかがった。プロデュースは、唐津絵理さんと勝見博光さんだ。

 

コロナ後で一気にライブや公演が増えた。だからこそ、作る側としても「今観客に何を問いかけるのか」ということが、観る側としても「膨大な公演の中から今何を選んで観るのか」ということが試されているのだと思う。

 

(ちなみに、「観客」としての私は、先週はフラメンコ公演2つを生鑑賞、1つをオンライン鑑賞、ダンス公演1つを生鑑賞、そして今週はフラメンコ公演2つを生鑑賞、フィギュアスケート公演1つを生鑑賞する予定だ。)

 

なお、『Rain』東京公演の概要と解説は下記。(公演Webページを参照しました。)

 

 

 

 

 

【日時】

8月4日(金) 19:00開演

8月5日(土) 12:00開演 / 18:00開演

8月6日(日) 12:00開演 / 16:00開演

 

【会場】

新国立劇場 小劇場

 

【クリエーター】

演出・振付:鈴木竜

美術:大巻伸嗣

音楽:evala

 

【ダンサー】

米沢唯

中川賢

木ノ内乃々

Geoffroy Poplawski

土本花

戸田祈

畠中真濃

山田怜央

 

【スタッフ】

プロデュース:唐津絵理(愛知県芸術劇場/Dance Base Yokohama)、勝見博光(Dance Base Yokohama)

プロダクションマネージャー:世古口善徳(愛知県芸術劇場)

照明ディレクター、デザイン:髙田政義(RYU)

照明オペレーター、デザイン:上田剛(RYU)

音響:久保二朗(ACOUSTICFIELD)

舞台監督:守山真利恵、川上大二郎

舞台監督助手:峯健(愛知県芸術劇場)

舞台:(株)ステージワークURAK

衣裳:渡辺慎也

リサーチ・構成:丹羽青人(Dance Base Yokohama)

振付アシスタント:堀川七菜(DaBYレジデンスダンサー)

制作:宮久保真紀、田中希、神村結花(Dance Base Yokohama)

企画・共同製作:Dance Base Yokohama、愛知県芸術劇場

 

【story】

イギリスの小説家・劇作家サマセット・モーム(WilliamSomersetMaugham/1874-1965)により、1921年に発表された短編小説。感染症により南の島に閉じ込められた医師と宣教師夫妻たちが宿泊先で出会ったのは、品性下劣で信仰心のない一人の女性であった。雨が降りしきる閉鎖空間で過ごすなか、それぞれの人物の価値観の違いから生まれる心情や軋轢、そして予想外の結末が描かれる。

 

※             ※          ※

 

8月6日(日)、15時45分に新国立劇場小劇場着。中に入り、ロビーの椅子に座っていると、間もなくダンサーたちによるダンスが、通路や階段で始まった。その様子を見ながら、会場内に入った。私たちの席は、前から5番目ぐらいの中央の、とてもよい席だった。

 

やがて開演。あちこちにいた6人のダンサーが、上手と下手の2ヶ所から一人ずつ舞台にあがっていった。

 

6人のダンサー(木ノ内乃々、Geoffroy Poplawski、土本花、戸田祈、畠中真濃、山田怜央)――モームの作品における水夫と現地の女たち? 医師と牧師の妻はいるのだろうか?――によるダンスがしばらく続き、その連鎖の動きに目を奪われていると、センター奥から一人の男性ダンサー(中川賢)――モームの作品では牧師デイヴィッドソン――が加わり、群舞に少しずつ変化が起きる。

 

さらに、女性ダンサー(米沢唯)の登場により、雰囲気ががらりと変わる。彼女は、『雨』ではトンプソンという名前の売春婦だ。舞台美術の中から彼女を求める手が一つ現れ、さらに次々現れる。その中を、新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢が、微笑みながら、誘いながら、時にはリフトされながら踊る。実に印象的なシーンだ。

 

厳格な牧師のデイヴィットソンは、トンプソンを教化しよう毎日のように彼女と対峙する。手持ちの照明で米沢を照らしているシーンがあったが、途中で立場が逆転し、中川が米沢の手持ちの照明で照らされることもあった。

 

後半に向かうプリミティブな雰囲気のダンス。舞台美術も上下に動き、観客にその内側まで見せた。

 

最後にデイヴィッドソンは死ぬ。その意外な結末の理由は原作でもはっきり明かされておらず、読者にゆだねられている。しかし彼の死後、トンプソンは「男ってやつは! 汚らわしい豚! どいつもこいつも、みんな同じさ。豚! 豚!」(木村政則訳)とデイヴィッドソンを侮辱することから、牧師と説教を受ける人物という立場にもかかわらず、二人の間に性的な関係があったことは容易に推測できる。

 

サマセット・モームの『雨』は、感染症の検疫のため、任地に向かう途中サモア群島の島に停留することになった牧師デイヴィッドソン夫妻と医師のマクウェイル夫妻、そしてミス・トンプソンなどが描かれている。季節は雨期。それを鈴木竜が、コロナ禍という状況と重ね合わせ、さらに登場人物を限定したことにより、実にわかりやすいものとなった。音楽と美術も、見事に作品に奥行きを与えている。

 

いずれにしても、ユニゾンの中にさえ6人のダンサーのそれぞれの個性が感じられ、中川と米沢の緊張感あふれるデュオなど……、見どころ満載だった。

 

 

 

 

 

 

出演者、スタッフのみなさま、お疲れさまでした! 素晴らしい公演を見せていただき、本当にありがとうございました。

 

終演後はオペラシティの中の飲食店で軽く一杯やろうかと思ったが、すべて閉まっていたので、隣駅の幡ヶ谷「HASHIYA」で夕食を食べて帰った。

 

まずは、イタリアンサラダをつまみに、ビールで乾杯。

 

 

 

 

 

スパゲッティは、夫があさりとしめじのスパゲッティ、ジンジャーソース。私がたらことツナのスパゲッティ。

 

 

 

 

 

おいしかったです。ごちそうさまでした!

 

素晴らしい公演の後はおいしい夕飯。最高ですね。