夫は毎年数冊の本を刊行している。今年の1冊目は対談集だ。
さて、雑誌「みらいらん」(洪水企画)のために年に1~2回行っている対談がある。当初はエルスール財団記念館のカフェ――カフェにはイギリス製のアンティークの楕円のテーブルがある――などで有観客で行っていたが、コロナ禍になった2020年から無観客となってしまった。これらに雑誌「現代詩手帖」で行った対談3つを加え、本書ができあがった。なお、各対談のタイトルは以下の通り。
i 野村喜和夫の詩と詩論をめぐって
小林康夫 闇を超えていく彷徨 詩と哲学のあいだ ※初出は「現代詩手帖」
杉本徹 言の葉のそよぎの生起する場所へ ※初出は「現代詩手帖」
ii 異分野アーティストを迎えて
北川健次 共有する記憶の原郷に響かせる ※初出は「現代詩手帖」
篠田昌伸 <詩と音楽のあいだ>をめぐって ゲスト=四元康祐
石田尚志 書くこと、描くこと、映すこと
iii 詩歌道行
有働薫 現代フランス詩の地図を求めて
福田拓也 『安藤元雄詩集集成』をめぐって 特別発言=安藤元雄
阿部日奈子 未知への痕跡 読む行為が書く行為に変わる瞬間
江田浩司 危機と再生 詩歌はいつも非常事態だ
広瀬大志 恐怖と愉楽の回転扉
杉本徹 ポエジーのはじめに散歩ありき
カニエ・ナハ 二十一世紀日本語詩の可能性
私は、時々スタッフとして対談の裏方をつとめたが、タイトルを見ただけでその時の熱と感動がよみがえる。巌谷純介さんによる装幀も美しく、ぜひ手に取ってご覧いただきたい一冊だ。
野村喜和夫対談集『ディアロゴスの12の楕円』(洪水企画)2,420円(本体2,200円+税10%)
お求めは、洪水企画、amazon、またはエルスール財団記念館などでお願いいたします。