2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に就任した。
アメリカ人アーティストに友人の多い私は、「もうアメリカに住みたくない」という声をずいぶん聞いている。とはいえ、彼らは実際にはアメリカを去ることもできず、4年あるいは8年、「おびえながら暮らす」ことになる。
トランプ大統領誕生の背景には、これまであまり日本では報道されてこなかった「プア・ホワイト」(貧しい白人の意味。白人の低所得者層を指す蔑称で、ホワイト・トラッシュとも言われる)の強い期待があったそうだ。
「学校や職場でも、ヒスパニック系やアフリカ系などマイノリティばかりが優遇されているのではないか」
「なぜ不法移民の世話のために、自分たちの税金が使われなければならないのか」
「親の世代よりも自分たちの暮らし向きは悪くなるのではないか」
「アメリカン・ドリームなどもはや幻想なのではないか」
こうした怒りや不安を抱く「プア・ホワイト」にとって、トランプ氏の掲げる主張は魅力的に映ったのだろう、と専門家は分析する。
こうした「プア・ホワイト」を中心に、「ワシントン」(注:既成政治、職業政治家、大手メディアなどをひとくくりでこうとらえる考え方があるそうだ)の政治に不満を持つ人々が、トランプ大統領誕生を熱狂的に迎え入れた。
「アメリカ・ファースト」「強いアメリカを取り戻す」「アメリカの雇用を奪うTPP離脱」「メキシコとの国境に高い壁を作る」「不法移民全員強制送還」「オバマケア廃止」など、トランプ大統領の演説は、とにかくシンプルでわかりやすい。
でも、理想や理念が何も感じられず、私は就任演説にも感動はなかった。
暗澹たる気持ちが続く中、昨日夫は中国の若手詩人たちとの交流イベントに出かけた。
(昨年台湾を訪れた時、「台湾は中国の一部ではない」という空気が強くなっているのを感じた。トランプ大統領は「一つの中国にこだわらない」という考えの持ち主なので、通商問題を含め、今後の米中関係はどうなっていくか大いに気になる。)
イベントは丸一日続いたそうだが、中国の詩人との交流は夫にとって心地よいものだったらしい。すっかり上機嫌で戻り、帰りにデパ地下によって購入した食材で、寄せ鍋を夕飯に作ってくれた。
(ありがたい。)
前菜。納豆。わかめとじゃこの炒め煮。
そして、こちらが寄せ鍋。
(なんだか、寄せ鍋がアメリカに見えてくる。さまざまな人種や思想や宗教の人が共存しているのがアメリカだと思っていたが、これからはどうなるのかな?)
そして雑炊。海苔をかけていただいた。
おいしかったです。ごちそうさまでした!