森の中に小さな神社があって
子供のころ夏になると
遊び仲間がクワガタやカブトムシを持ち寄って
神社の前でよく虫相撲をしたものでした
神社の裏手は深い森で湧き水がありました
湧き水の泉のほとりには小さな祠があって
水の神の白い蛇が祀られていました
泉から流れ出す細い流れをたどって森をいくと
やがて流れは谷津田のなかを流れていきます
ザルをもってガサガサすると小さなエビやドジョウがとれました
そのうち小さな流れが集まって広い田んぼの中の用水路になります
流れもゆるやかになって子供が釣りをするのにちょうどよくなります
小さな鮒がたくさん釣れました
それから小学校も高学年になると、
自転車をこいで離れた川や沼に大きな鮒や鯉、鯰を釣りに行きました
それでもいつしか釣りをすることもなくなり
東京がすぐそこだった故郷は急速に住宅地になって
森も谷津田もなくなりました
僕も田舎の子から街の子になりました
もっとも僕は東京の都心で生まれて
幼いころに近郊に引っ越してきたのです
引っ越してきた幼児のときは村でしたが
高校生になるまでに、いつの間にか市になりました
東京が生まれ故郷でその郊外が育ちの故郷
大人になってそこを遠く離れました
今ではかつての故郷の面影は影も形もないようです
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